
伝統と文化が薫る、城端(じょうはな)
和菓子屋「溝口梅華堂」は、越中の小京都と呼ばれる富山県南砺市城端(じょうはな)の中心部にあります。城端は善徳寺の門前町として発展した歴史を持ち、江戸時代には絹織物を中心に多くの商人たちが軒を連ね、町の繁栄を支えてきました。現在でもその昔ながらの町並みや、華やかなお祭りから当時の賑わいを感じることができます。

南砺市の他地域同様に、城端も人口減少という深刻な課題を抱えています。しかし、近年では「泊まれる民藝館」をコンセプトに開業した善徳寺内の複合施設を中心に観光客が増加しており、2025年に入ってから飲食店が複数店舗開業するなど、地域の若手を中心に盛り上がりを見せています。

また、車で7~8分程度の中山間エリア「桜ヶ池」には、2027年初夏にゴールドウインによる大型アクティビティ施設が開業予定です。年間で100万人以上の来訪が見込まれると発表されたこともあり、城端の商売人たちはその好機を見据え、忙しなく準備に取り組んでいるところです。
元気なうちに技術を承継したい
そのような盛り上がりを見せる城端の門前に店舗を構えるのが溝口梅華堂です。明治23年の創業以来、変わらずに美味しいお菓子を提供し続けてきました。
現店主は、4代目の溝口英伸さん。溝口さんは今年65歳で、大女将、女将ともに元気で店を支えていますが、以前から膝の調子が思わしくなく、健康にお菓子を作り続けられるうちに後継者を探して技術を伝えたいとの思いから、今回の募集を決断されました。

人気すぎてクレーム? 遠方からも常連客がたくさん!
溝口梅華堂は、地元では『梅さ』と呼ばれて親しまれており、その一番の目玉商品は1月末~3月末に販売している「いちご大福」です。シーズンになると「梅さのいちご大福を買いにいかんなん!」と朝からおでかけするおばあちゃん方を筆者も知っています。
驚くのは、その常連客は城端地域内にととまらず、お隣の福光、福野を通り越して、砺波市や高岡市からも訪れるということです。(※砺波市は車で30分、高岡市は小1時間程度)午後になると売り切れてしまうこともあり、何度かお客様にクレームをもらってしまったこともあるとか。
それ以降、溝口さんは「できれば、午前中に買いに来てほしい」という呼びかけを徹底しています。また、お葬式や祝い事の注文もしばしば。ご家族で営む小さな和菓子屋ですが、経営は非常に安定しています。

事業譲渡をする金沢の企業が雇用主となります
現在、金沢のブランディング・事業開発を専門とする企業「501株式会社」が溝口梅華堂の事業を引き受けたいということで話がすすんでいます。そのため、本件は企業に雇用されながら溝口梅華堂の後継者として技術を身につけていく方の募集となります。
また溝口梅華堂は店舗オープンの午前8時までにお菓子を作り終える必要があるため、朝の始業は早く、店舗に近い城端地域に暮らしてもらえる人だとありがたい、と溝口さんは考えています。

初心者大歓迎!お菓子作りに興味のある方にぜひ来ていただきたい
溝口さんに「どのような方に引き継いでもらいたいですか?」と尋ねると、迷わず「お菓子作りが好きな人、興味がある人」とはっきりと答えています。初心者でも興味があればきちんと技術を習得できる体制が整っています。
和菓子づくりの基本は【包餡】といって、やわらかい餅生地であんこを包み込む作業。この技術を習得するのに数ヶ月かかりますが、それさえ習得してしまえば応用して、様々なお菓子を作ることができるそうです。溝口さん自身も最低1年間は一緒に仕事をしたいと意気込んでいますので、ぜひ『梅さ』のお菓子を引き継ぎたい!という意欲ある方のご応募をお待ちしています。