
岡山県美作市で約40年にわたりお茶の生産から加工、販売までを一貫して手がける「有限会社海田園黒坂製茶」。地元をはじめ全国に幅広い販路を持つ同社の事業を引き継ぎ、育ててくれる人材を、地域おこし協力隊として募集します。
茶畑から消費者の元へ、すべての工程を担うお茶づくり
「有限会社海田園黒坂製茶」は、黒坂代表が所有する茶畑とその他、借地を合わせた約7ヘクタールの規模で茶葉を栽培しています。収穫後は自社の工場で加工し、販売に至るまで一貫して行っており、お茶づくりに関わるすべての工程を担っている老舗企業です。
同社が手がける商品は、大衆的な商品から特別感のある高付加価値商品まで多岐にわたり、販路も食品問屋、スーパー、お茶専門店、ECサイトでの直販と幅広く展開しています。

商品開発にも積極的で、「パスタソース」や「お菓子」といった、新しい切り口のお茶商品の企画開発をはじめ、近年では紅茶の製造も手がけており、これらの商品も顧客から良い反響が返ってきています。
また、室町時代から受け継がれてきたといわれる「美作番茶」は生産者が減少する中、全国的にも珍しい伝統製法として海田園黒坂製茶が今も受け継いでいます。

先代の父親が個人事業として営んでいた茶業を黒坂代表が引き継いだのは、約40年前のこと。当初は父親と同様に個人事業主として歩み始めましたが、事業の拡大と安定化を見据え、約20年前に法人化を決断しました。現在では、全国各地に取引先を抱えるまでに成長しています。
四季を通じたお茶づくりのサイクル
春は畑の肥料入れや工場の掃除から始まり、5月から6月上旬にかけては一番茶の収穫と加工がピーク。その後も、7月頃からお盆にかけて、二番茶の収穫と紅茶づくり・美作番茶の製造が続きます。
お盆を過ぎると少し作業は落ち着きますが、9月の終わり頃からは秋の収穫がスタート。11月上旬まで収穫を行います。

「5月が一番忙しい」と黒坂代表。一番茶のシーズンには朝5時台に起き、その日摘んだ葉はすべてその日のうちに加工するため、夜遅くまで作業が続きます。
これらの作業に加え、年間を通じてお茶の仕上げ加工や小袋への詰め替え、販売業務も行っており、多忙な一日を送っています。
特に繁忙期であるお茶摘みの時期には人手が必要です。現在、海田園黒坂製茶では代表夫婦に加えて、パートスタッフさん数名が働いており、外での茶畑の作業と工場内での袋詰めといった内部作業を分担して行なっています。
長年培ったブランドと関係性を途絶えさせたくない
約20年前に法人化した海田園黒坂製茶。現在は黒坂さんご夫婦が出資する有限会社として営まれていますが、事業の担い手となる後継者候補がいないため、今回の募集を決意しました。

「いろんな繋がりで商品が自然と売れていくようになった。会社名も愛されるようになり、お客さんもたくさんいる中で簡単に事業を辞めると言う訳にはいかない。」と話す黒坂代表。
代表自身もお茶づくりに携わって約40年が経ちますが、先代からの期間を含めて長年かけて築き上げたブランド力、そして取引先との関係を途絶えさせたくない、という想いを抱いています。
学ぶ姿勢をもった意欲のあるひとに託したい
今回、有限会社海田園黒坂製茶では、美作市の地域おこし協力隊制度を活用して、将来の後継者候補を迎え入れます。
3年間の協力隊期間中は、黒坂代表と共に茶畑の管理から製造、販売まですべての工程を学び、協力隊卒業後には、従業員または役員として数年間経営に携わってもらった後、経営権および資産の譲渡を行う予定です。譲渡条件については、双方の話し合いで決定します。
求める人材像は、
・体力があるひと
・学ぶ姿勢のあるひと
・機械やデジタルスキルに強いひと
特に工場の設備・機器のメンテナンスなどの作業があるため、機械を扱うことが苦にならないことや、見積書の作成やECサイトの運営・SNSでの情報発信など、パソコンスキルとともにデジタルを交えたマーケティング・企画戦略についても積極的に取り組める人材を求めています。

また、お茶づくりの技術は、黒坂代表自身が「40年かけてようやく満足のいくものが揉めるようになった」と語るほど奥深いものです。継続的に学びながら、時代に合わせて事業を適応させられるような意欲のある方からの応募をお待ちしています。