文豪も愛した青森県・下風呂温泉郷
下北半島に位置する本州最北端の温泉郷・下風呂(しもふろ)温泉郷は、室町時代から湯治場として栄え、昭和の文豪・井上靖をはじめ、数々の作家たちが足を運んだ名湯として知られています。
下風呂温泉郷の魅力は、なんといってもその泉質。「大湯系」「新湯系」「浜湯系」の3つの源泉があり、特に硫黄泉は昔から療養効果が高いと評判です。
また、新鮮な名物のアンコウ料理やイカの刺身など、津軽海峡の海の幸を使った季節の料理も自慢の一つ。女将たちの心のこもったおもてなしと家庭的な料理が、訪れる人々の心と体を癒します。
その下風呂温泉郷の旅館の女将たちでつくる「下風呂温泉おかみの会」は、温泉郷のPRや地域活性化に向けて、様々な活動を展開しています。
「下風呂温泉郷のPRのほかにも各地への視察や泉質の研究など、積極的に活動しています。下風呂温泉郷のために必要なことがあれば、なんでもやります」と、同会の会長を務める長谷雅恵さんは語ります。
長谷さんは、下風呂温泉郷の中でも最も古い歴史をもつ、創業150年以上の老舗旅館「まるほん旅館」の女将で、昨年から自身の後継者候補となるインターシップを受け入れています。
下風呂温泉を未来に残すために
現在、下風呂温泉郷には9軒の宿がありますが、後継者不足や施設の老朽化など、様々な課題に直面しています。
「このまま手をこまねいていれば、大切な温泉郷がなくなってしまうかもしれません。何とかしてこの場所を守り、発展させていきたいのです」と長谷さんは危機感を募らせます。
そこで、歴史ある温泉郷を守るため、下風呂温泉おかみの会は村と協力して、新たな仲間を募ることにしました。
今年度は、2週間〜最長3ヶ月間のインターンを実施。長谷さんの経営するまるほん旅館のほか、下風呂温泉おかみの会のメンバーが経営する旅館で、実際に下風呂温泉郷の女将業を体験しながら、下風呂温泉郷の魅力を肌で感じていただきます。
また、下風呂温泉おかみの会の集まりにも参加いただき、下風呂温泉郷の仲間として、下風呂温泉郷の課題解決についても一緒に考えていただきたいと思っています。
「人と接することが好きで、お客様と楽しみを共有できる方をお待ちしています。私たちと一緒に、下風呂温泉郷の未来に関わってもらえたらうれしい」と長谷さんは呼びかけます。
インターンシップでのマッチングがうまく行った場合は、来年度からは村の補助も受けながら、1年〜3年を目処に温泉旅館の事業承継に向けて取り組んでいく予定です。
本州最北端の温泉郷・下風呂温泉郷は、地域の人々が日常的に通う憩いの場でもあり、下北地域の観光の拠点でもあります。その下風呂温泉郷の灯が消えることは、地域のコミュニティの喪失、観光の衰退、都市との関係の消失にもつながります。
小さな村の小さな温泉郷の女将たちだけでは、抱えきれない大きな課題ですが、力をあわせて下風呂温泉郷を未来に残していきたいと思っています。
この温かな湯の歴史と未来を守るため、あなたの力を貸してください。
本州最北端の温泉郷でお待ちしています。