2023年7月27日 内容を更新しました。
大自然に囲まれた地でペンションをはじめて30年
大阪から車で2時間半、兵庫県豊岡市に位置する神鍋(かんなべ)高原。大自然に囲まれ、夏はゴルフやパラグライダー、冬にはスキーやスノーボードなど、年間を通してアクティビティを満喫できます。
関西で最も歴史のあるスキー場からほど近い場所にある「ペンション・スモークウッド」の継ぎ手を募集します。ペンションからスキー場・ゴルフ場・温泉併設の道の駅までは、車で3分の立地です。
名前の通り、看板メニューは自家製の燻製料理。じっくりいぶした本物のスモーク製品と、神鍋の大自然を味わってもらえるペンションを30年前に始めました。
スモークウッドを経営するのは、兵庫県神戸市から神鍋高原に移住をした佐藤さんご夫妻。もともと教師だったおふたりは、40歳の頃に退職し、一念発起してペンション経営を始めました。
スキー好きが高じて、学生時代には宿泊施設に住み込みで働いた経験があったという、夫の賢治さん。いつでもスキーができる環境だったことや、知人が神鍋高原でペンションを経営していたことから、この地で開業することを決めました。
コロナ禍の2020年度でも、但馬地域には約40万人のスキー客が訪れたそうで、神鍋高原は今も昔も人気のスポットと言えそうです。
昔から趣味で作っていたという燻製を、ペンションの看板料理にしようと思いついたという佐藤さん。
しっかり学ぶために、わざわざ本場のドイツに行って食べ歩いたり、日本国内の教室で勉強した経験も。「スモーク料理の味を受け継ぐことは絶対ではないですが、製法は伝授するのでぜひ続けてほしいと思います」
朝食には自家製ハムやソーセージをいただくことができます。
常連さんからの「ありがとう」がなにより嬉しい
佐藤さんに、ペンション経営の楽しさについてお伺いしました。
「こちらは宿泊代をいただくのに、お客さんから『ありがとうございました』と言われるのは嬉しいですね。みなさん手土産を持ってきてくれたりもして」
お客さまの声を聞くことが何より嬉しいからと、ネットでの宿泊予約にはあえて対応せず電話のみ。それでも、年に数回来てくれる常連さんを中心に、支えられてきました。
しかし、70歳になったのを機に、ペンションを譲ろうと決意。
「継ぐひとには、好きなようにやってもらえればと思います。ネット上での発信に力を入れたりすれば、新しいお客さんを獲得できるのではないでしょうか。もちろん、うちの常連さんにも紹介します」
ペンションは、オーナーの魅力が人気を左右します。スモークウッドも佐藤さんご夫妻に会いに来ている人が多く、常連さんもオーナーたちと一緒に歳を重ねています。だからこそ、新オーナーには自由に新しいことをやってほしいそうです。
住居、元テニスコートの敷地も利用可能
建物は住宅も兼用しており、継業した人はこちらに住むことができます。佐藤さんご夫妻は、後継者が見つかったら地元の神戸に帰るつもりなので、住まいを一緒にすることはありません。
住居スペースはペンションとは別の入り口なので、プライベートもしっかりしていて安心。建物、内装も丁寧に管理されていて、厨房機器、ベット、ソファなどの家具、調度品は一部を除いて譲渡されます。
また、建物のすぐ横には4面分の元テニスコートがあります。こちらは区から借りることにはなりますが、アイデア次第で活用の可能性が広がりそうです。
一方で、雪が積もる冬季は、除雪作業をすることも念頭に置く必要があります。
「ペンション前の駐車場と進入路の約100メートル程の除雪作業が必要になります。体力が無いと少し厳しいかもしれません」
地域とのつながりを大切にしてほしい
最盛期にはこの地域だけでもペンションが7軒あったそうで、そのうち6軒は佐藤さん夫妻のように移住者だったそう。自身も移住者である佐藤さんによれば、「この地域は移住者を受け入れる気質があると思います」とのこと。
継いでもらう人には、「『郷に入れば郷に従え』の言葉通りに、地域のつながりを大切にして、尊敬しあう関係を築いてほしい」と話します。
昔に比べてペンションの数は減っているものの、しっかり運営すれば売上は上がるはずだと話します。
「友達もペンションをやっているんですけどね、建物自体は古いけど、オーナーの面倒見がよくていつも賑わっているんです」
スキーという好きなことを追いかけて神鍋高原でペンション経営を始め、「もうやり尽くした」という佐藤さんは、これからは海の近くで釣りをする生活がしたいのだとか。
佐藤さんが30年間築いてきた地域とのつながりを大切にしながら、佐藤さんのように神鍋の自然と自分の人生を楽しみ尽くしてくれるひとに、このペンションを継いでもらいたいと思います。