豊富な温泉資源を持つ温泉旅館

世界遺産の縄文遺跡群への玄関口として知られる青森県つがる市で、昭和41年から続く温泉旅館「稲垣温泉ホテル花月亭」は、地域の人なら誰もが知る温泉旅館です。
稲垣温泉の歴史は、ある偶然からはじまりました。
もともとここで銭湯を営んでいた初代ですが、井戸水が枯れてしまったため、新しい水源を求めて掘削したところ、温泉の源泉を掘り当てたのです。どこかの昔話で聞いたような話ですが、これが稲垣温泉の起源です。

稲垣温泉の最大の資源は、この源泉です。
敷地内には2本の源泉を保有しており、現在使用している3号泉は昭和52年に掘削された深度800メートルの源泉です。2号泉は昭和47年に掘削された深度550メートルの源泉で、現在は未使用ですが、今でも湯が湧き出ています。
2号泉と3号泉は、深さが異なるため泉質も微妙に異なりますが、どちらもナトリウム塩化物泉で、しょっぱさが特徴的な美肌の湯として知られ、日本の名湯百選にも選出されています。
また、稲垣温泉では、温泉をお風呂としての利用だけでなく、館内の床暖房にも活用し、冬場の暖房費を大幅に抑えながら、冷え込む冬場でも足元から暖かく快適な環境をお客様に提供しています。
演歌歌手としても活動する三代目

現経営者の片山貴善さんは創業者の孫にあたる三代目。高校を卒業してすぐに二代目だった父親が倒れたため19歳で家業に入りました。
それから50年余り、旅館を切り盛りしてきた片山さんは、演歌歌手としての顔も持っています。
自主制作ながらCDもリリースし、通信カラオケにも配信されているセミプロ演歌歌手で、宴会のお客さんからのリクエストで、歌を披露することもあるそうです。
縄文遺跡観光の経由地として大手旅行会社のツアーを受け入れ

稲垣温泉は縄文遺跡等の観光地へのアクセスもよいことから、桜や紅葉のシーズンには多くの観光客が訪れ、満室になることも珍しくありません。
主な利用客は、大手旅行会社主催のツアー利用者で、客単価は1泊2食付きで15,000円から16,000円程度、ゴールデンウィークやお正月などの繁忙期には20,000円程度となるほか、1泊3〜4万円の特別室も設けています。
ツアー客以外には、オンライン予約サイトを通じた個人客や日帰り温泉の利用客もおり、地域の方々にも親しまれています。

つがる市内は宿泊施設が限られることもあり、ツアー客を中心に需要が途切れることはありませんが、繁忙期には人手が足りず、需要に応えきれないこともあります。
現在、従業員は片山社長を含めて8名ですが、繁忙期には、シルバー人材センターやスポットワークを活用し、15〜16名体制で運営しています。多くの旅館と同じく繁忙期と閑散期での雇用の調整は、稲垣温泉ホテルにおいても課題となっています。
温泉を使って、もっとできることがある
温泉旅館としての運営を継続することはもちろん歓迎されますが、2本の源泉、広い敷地を活かした多角的な事業展開も可能かもしれません。
例えば、温泉の熱を利用した水耕栽培によるメロンなどの農業展開。実際につがる市では、高齢化や後継者不足を背景に農業の活性化を目指し温泉熱で水温を管理しつつ、LED照明などによる日照不足対策を行いながら、メロンの通年栽培とブランド化を目指す水耕栽培の実証試験が行われています。
そのほか、老人ホームなどの福祉施設の運営などが考えられるかもしれません。

稲垣温泉の譲渡は、有限会社の全株式と片山社長が個人で所有する源泉を含む土地を一括で譲渡し、「稲垣温泉」の屋号の承継と現従業員の継続雇用を希望しています。
また、事業承継にあたって、国の支援機関である青森県事業承継・引継ぎ支援センターがサポートしますので、安心してお問い合わせください。
片山社長は一定期間会社に残り、丁寧な引き継ぎを行う予定です。
温泉旅館の経営に情熱を持つ方、温泉資源を活用した新しい事業に挑戦したい方、青森の地で新たな一歩を踏み出したい方。偶然掘り当てた温泉が生んだこの旅館の物語をあなたの手で次の章へと進めてみませんか。

