土づくりから始まる花への想い、地域唯一の花卉農家「周秀園」の後継者を募集 | ニホン継業バンク
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2025.10.17

土づくりから始まる花への想い、地域唯一の花卉農家「周秀園」の後継者を募集

事業譲渡

四季を彩る花々に込められた、半世紀の想い

秋田県能代市二ツ井の静かな田園地帯で、工藤正光さんが営む花卉(かき)農家「周秀園(しゅうしゅうえん)」。その名前には「より良いものをまわす」という意味が込められています。

工藤さんの花卉栽培への道のりは、23歳で洋蘭の世界に足を踏み入れたことから始まりました。地元二ツ井を離れ、大阪や名古屋をはじめ全国各地の生産者や企業を訪ね歩き、4年間の修業期間を経て技術を習得。27歳で故郷に戻り、周秀園を創業しました。

それから約50年、工藤さんは土と花と向き合い続け、今や東京の大田市場でもその品質の高さで知られる生産者となっています。

工藤さんのこだわりは「ただ作ればいい。ではダメ」という哲学に表れています。

同じ花でも、土の性質によって色や持ちが大きく変わるため、微生物レベルでの土づくりから取り組みます。しかし、その道のりは決して平坦ではありませんでした。

「いろんな失敗を山のように重ねてきた」と工藤さんは振り返ります。

秋田県だけでも土は100通りに分類され、同じ腐葉土でも中身は全然違います。肥料の成分が植物にどう吸収されるのか、硝酸体とアンモニア体の違いといった専門的な知識を駆使し、科学的なアプローチで栽培に臨んでいますが、50年経った現在でも「いまだに研究」と語るように、土づくりに完璧はないのです。

現在では花卉栽培だけでなく、培養土の製造・販売も手がけ、より幅広い事業展開を行っています。

地域社会に欠かせない、能代市唯一の花卉農家

JR二ツ井駅前には周秀園で育てた花で彩られた花壇が

能代市では唯一の花卉農家である「周秀園」は、年間30種類もの花卉を手がけ、パンジーやビオラ、シルバーレースなどの苗もの・鉢ものを中心に、季節ごとに様々な花々が丁寧に育てられています。

また、国の環境保全事業の一環として田んぼの脇に植えるマリーゴールドなどを年間数万本規模で供給しており、一箇所で1万本を使用することもある大規模なプロジェクトにも対応できる生産体制を整えています。

周秀園の前にある田んぼ脇も花で飾られている

周秀園では他にも役場関連施設の花壇整備、さらには天皇陛下が北秋田市を訪問された際の沿道装飾にも携わるなど、地域の美化活動の中核を担い、地域社会にとって欠かせない存在となっています。

100坪のハウスが8棟、小規模なハウスが4棟と、総面積70アールという規模で展開される事業は、年間約1,800万円の売上を誇ります。

現在は工藤さんご夫婦、弟さん、パートさんの4名体制で運営されており、安定した収益を上げています。

匠の技術と全国に広がる信頼の販路

工藤さんの栽培技術は、単なる経験則を超えた科学的なアプローチに基づいています。

土壌の微生物レベルでの管理、水質の特性を理解した施肥設計、そして無農薬での栽培技術。これらの技術の結晶として、全国品評会で10位に入賞した実績があります。

花の色や持ちの良さは土壌の性質によって大きく左右されるため、50年かけて培った土づくりのノウハウは何物にも代えがたい財産です。

ハウス内には賞状も

年間の作業スケジュールは季節の移ろいと共に変化します。

3月から6月にかけてが最も忙しい繁忙期で、春の需要に合わせて様々な花々の出荷が集中します。夏場は暑さのため花の需要が落ち込むことから出荷を休み、土づくりやハウスの修理といった次のシーズンへの準備期間となります。

10月頃から再び出荷体制に入り、秋冬の花々を市場に送り出しますが、1月半ばから2月半ばの最も寒い時期は、商品が凍ってしまうため作業ができない閑散期となります。

この自然のリズムに合わせた作業サイクルも、長年の経験から生まれた効率的な経営手法の一つです。

ハウスの中には花や苗が

販路は地元の能代市から東京都までと多岐にわたります。

東京に出向き、大田市場をはじめとした首都圏の市場と直接取引を行う一方、地元の商社やホームセンターへの卸売り、さらには直売にも力を入れています。

東京の市場関係者からも「この人の花は売りやすく、長持ちする」と高い評価を得ており、50年かけて築き上げた信頼関係と販売ネットワークは、大きな財産となっています。

新たな時代を彩る後継者を求めて

今回の事業承継では継業後に再雇用という形で、工藤さんご夫婦、そして、弟さんとパートさんが5年間にわたって技術指導とサポートを提供します。

「花の世界はどんどん変わっているし、新しいものにも挑戦していかなければならない。お客さんの欲しいものは年齢によっても違う」と語る工藤さんは、後継者の方には常に学び続ける姿勢を求めています。

農業未経験者でも、やる気と学ぶ意欲があれば大丈夫だと工藤さんは言います。

微生物レベルでの土づくりから、種苗の選定、出荷調整まで、50年分のノウハウを惜しみなく伝授する準備があります。

「自分の思った通りに作れて、それが販売できた時が一番楽しい」と語る工藤さん。

50年という長い歳月をかけて培ってきた技術と経験は、単に花を育てるだけでなく、お客様が求める品質の花を安定して供給することへの誇りと喜びに支えられています。

事業承継の条件は、初期費用2,000万円でハウス設備一式、農業機械(3トントラック、ボイラー等)、屋号「周秀園」の使用権、既存取引先との関係・販路、を含みます。

また、70アールの事業用地を年間100万円の賃貸借契約にて使用いただきます。

技術指導と作業サポートに関しては、再雇用の形で工藤さんご家族とパートさんがサポートします。

「研究熱心で、いろんなことにトライしていく気持ちがあれば、きっとできる」と工藤さんは後継者への期待を込めて語ります。

50年かけて培われた技術と信頼、そして地域に愛され続けてきた「周秀園」の看板を受け継ぎ、新たな時代の花卉栽培に挑戦してみませんか。

譲渡概要

事業者名

周秀園

所在地

秋田県能代市二ツ井町駒形出口45 (二ツ井町駒形字家後69)

事業内容

花卉栽培・販売業

継いでほしいもの(譲渡資産)

・屋号「周秀園」

・総面積70アールのハウス設備一式(100坪のハウス8棟、小規模ハウス4棟、ボイラーなど)

・農業機械(3トントラックなど)

・既存取引先との関係・販路

・工藤さん含む従業員

譲渡希望額

・設備一式   2,000万円

・土地(賃貸)   100万円(年間)

継いでほしいひと

・研究熱心で、いろんなことにトライしていくことができるひと

継業までの流れ

①継業バンクより応募・お問い合わせ

②履歴書、職務経歴書の提出

③オンライン面談

④現地視察、体験、事業主と面接

⑤交渉・契約

⑥継業

 ※工藤さん方を再雇用していただくことで、技術などのサポートをしていきます。

注意事項

・事業者様への直接のご連絡、ご訪問は、ご迷惑となりますのでご遠慮ください。

・ご応募、お問い合わせは、記事下の「お問い合わせはコチラ」からご連絡ください。

・継業バンクの利用料は無料です。成約報酬等も必要ありません。

・契約に関わる費用や許認可の申請に必要な経費はご負担ください。

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