
飛騨高山へ抜ける街道沿いに、48年間続いてきたお寿司屋さんがあります。店主の細川富美男さんとおかみさんのご夫婦が営んできた「鮨処 しなの」です。
寿司や刺身、一品料理を提供するだけでなく、宴会や法事の仕出し、宅配弁当など、地域の食を支えてきました。いま、ご夫婦はこの店を託せる人を探しています。
山と川に囲まれ、ドライブ客が行き交う里
岐阜県郡上市明宝は岐阜県のほぼ中央、長良川の支流・吉田川の上流に広がる山あいの地域です。
南北を貫く国道472号線は「せせらぎ街道」の名で知られ、新緑や紅葉の季節にはドライブやツーリングで多くの人が訪れます。郡上八幡へも飛騨高山へもアクセスしやすく、春は桜や芝桜、花桃、夏は川遊びや釣り、秋は紅葉、冬はウインタースポーツと、四季を通じて楽しめる地域です。
秋には各地区で白山神社の祭礼が行われ、なかでも寒水地区の掛踊は約300年にわたって踊り継がれ、ユネスコ無形文化遺産「風流踊」のひとつに登録されています。
さらに、明宝ハムや明宝トマトケチャップ、めいほう鶏ちゃんなど、特産品や郷土料理でも知られる明宝。地元の食を大切に育て、地域の魅力として発信してきた土地でもあります。

そんな明宝で48年間にわたって地域の食を支えてきた、町で唯一のお寿司屋さんが「鮨処 しなの」です。
暮らしの節目に寄り添ってきた味
店主の細川富美男さんは、名古屋と岐阜で寿司職人としての修業を積んだのち、26歳でふるさとの明宝に戻り「鮨処 しなの」を開きました。1985年に現在の場所へ移り、増築を重ねながら、ご夫婦で店を続けてきました。


お客さんの7〜8割は地元の方々です。普段はカウンターやテーブル席で寿司を楽しみ、家族や地域の集まりがあるときには、24席の宴会場を利用する。法事の席には仕出しを届け、店まで来られない方には宅配弁当を届ける。
日々の食事から地域の集まりまで、さまざまな場面で「しなの」の料理が親しまれてきました。

現在の営業時間は16時30分から20時まで。客単価は3,000円前後です。(法事等の需要は4,000円~5,000円)
過去には年間売上高が2,700万円を超えたこともありますが、現在は年商1,000万円程度で、ご夫婦で無理のない範囲で営業を続けています。
アイデアで可能性が広がる店舗
「鮨処 しなの」の店舗は2階建てで築47年。1階が店舗で、トイレは2か所、上下水道も整っています。
また、2階には現在は使用していない座敷があり、住み込みで利用することもできます。ただし、お風呂はありません。住み込みの場合は、明宝温泉などの日帰り温泉を利用することになります。

寿司店として営業するだけでなく、工房や2階スペースをどう使うか。この建物を新しい形で活用することもできます。
寿司店にこだわらない。ただ、地域とともに
「まだまだ店を必要としてくれる人はいる。でも、もう昔のようには働けない」。
後継ぎのいない細川さんご夫婦が選んだのは、店をたたむのではなく、48年間続けてきた店を次の誰かへ託す道でした。
引き継ぐ方は、必ずしも寿司店を続ける必要はありません。
寿司店として新たに営業を始めてもいい。宴会場や厨房設備を活かして、仕出しや弁当の仕事を続けてもいい。せせらぎ街道を行き交う観光客に向けた飲食店として、新しい店をつくることもできます。


この場所を活用し、地域の発展につながる仕事をしていく。その思いがある方には、現状渡しでの無償譲渡も考えています。
細川さんが大切にしているのが、地域の人たちと仲良くやっていくことです。
48年間この店を支えてきたのは、明宝の人たちでした。地域の人たちに必要とされ、信頼されてきたからこそ、ここまで店を続けることができました。
この店で生まれてきたつながりも大切にしながら、次の営みへとつないでくれる方からのご応募をお待ちしています。



