
昭和の時間がそのまま残る店内
一歩足を踏み入れた瞬間、昭和へタイムスリップしたような気分になる喫茶店があります。
「アミー」は1979年にオープンし、35年間営業を続けていました。そして2014年に店を閉めてから10年以上経った今も、その姿はほとんど変わっていません。
扉を開けると、壁一面に並ぶグラス。アンティークなテーブルや椅子、コーヒーサイフォン。営業していた頃の道具や調度品が、そのままの姿で残されています。


近年は「昭和レトロ」をコンセプトにしたカフェが人気を集めています。しかし「アミー」は昭和の雰囲気を再現した店ではありません。
昭和から平成にかけて実際に営業していた店が、そのままの姿で残されている、本物の純喫茶です。
「いつか誰かがこの店を受け継いでくれる日が来るかもしれない。」
そんな思いから、店主の風巻良介さんは閉店から10年以上、この空間を大切に守り続けてきました。

津南に現れた「東京の店」
津南町出身の風巻良介さんは、中学校を卒業後、単身東京へ渡りました。
上野のカクテルバーなどで働きながら、接客や酒づくりだけでなく、都会の店づくりを学びます。休憩時間には厨房で職人が焼くピザを夢中になって眺め、その味も覚えました。

31歳のとき、父の「長男なんだから帰ってこい」の一言をきっかけに津南へ戻り、1979年に純喫茶「アミー」を開店します。
約2,000万円を投じてつくった店内は、東京で見てきたバーや喫茶店の落ち着いた雰囲気を取り入れた空間でした。

さらに、当時の津南周辺では珍しかったピザも提供し、地域の大きな話題になります。
田舎町に現れた「東京の店」。それが35年間愛され続けた「アミー」の始まりでした。
昭和レトロだからこそ、できる店づくり
当時の「アミー」は、東京を思わせる都会的な雰囲気を持った存在。デザインや家具、照明、食器など、当時の流行を取り入れた店づくりは、今では昭和レトロな魅力として多くの人を惹きつけます。
実際に営業を続けたからこそ生まれた空間は、内装やしつらえを“レトロっぽく”するだけでは再現できません。「アミー」では、店内の什器や厨房設備、食器などもそのまま引き継ぐことができ、営業当時の雰囲気を生かした店づくりができます。


近年は、昭和レトロな純喫茶を目当てに遠方から足を運ぶ人も増えています。地元の人にとっては懐かしい場所であり、町の外から訪れる人にとっては、時代を感じられる空間です。
さらに津南町の周辺には温泉やスキー場、年間50万人が訪れる「大地の芸術祭」などの観光資源もあり、旅の途中に立ち寄る店としての可能性も秘めています。

喫茶店としての営業を続けるだけでなく、夜はバーとして活用したり、この空間を生かしたイベントを開催したり。
昭和の面影が残る店だからこそ、ゼロからではつくれない魅力を生かしながら、自分らしい店づくりに挑戦できます。

人が集まる場所を、もう一度
「一番嬉しかったのは、いろんな人が来てくれたこと。」
体調を崩したことをきっかけに2014年に店を閉めた風巻さんは、そう振り返ります。
地元の常連客はもちろん、観光客や周辺地域の人たちも、この店に集まりました。

賃料は月4万円。駐車場は4〜5台分あり、営業にあたっては保健所の営業許可を新たに取得していただきます。
2階は風巻さんの住居のため、貸し出しは1階店舗部分のみとなります。
昭和から時が止まったような喫茶店で、新しい物語を始める人を待っています。




