
会津若松市の中心部、七日町通りに佇む「七日町パティオ」。明治大正時代に建てられた旧芳賀家の蔵をリノベーションした複合施設で、複数のテナントが入居できる施設です。
今回の募集では、これまでテナントとして入っていたお菓子屋さんがやむを得ない事情により閉店することとなったため、新たに店舗を活用し、歴史あるまちなみを未来に残してくれる方を募ります。
シャッター通りが観光モデル地区へ
七日町パティオに入居する事業者の窓口を担っている七日町通りまちなみ協議会会長の渋川さんは、このまちの変化を肌で感じてきました。「もともとこの通りは、本当に寂れたシャッター通りだったんです」と振り返ります。
この地域のまちづくりを牽引してきた七日町通りまちなみ協議会は、1994年年3月、「城下町らしい特色のある商店街の再生と地域コミュニティの再構築」を目指して発足しました。
協議会発足当時は3軒に1軒が空き店舗という状況でしたが、「商業文化が息づくレトロなまちなみ」をコンセプトに、歴史的な建物を保存・修景しながら、協議会発足から約30年間、まちづくりに取り組んできました。

現在では七日町通りに面している約120店舗すべてが協議会に加盟しており、その取り組みについても広く認知されています。観光客数は年間約45万人にのぼり、会津若松市のまちなか観光のモデル地区として、市内外問わず人気のエリアとなっています。
明治時代に建てられた商家の蔵を新たな交流拠点に
七日町通りの魅力は、戊辰戦争後に会津の商人たちが復興させた明治大正期のまちなみが今でも残っている点です。
七日町パティオも、明治時代に建てられた旧芳賀家の蔵をリノベーションして活用しています。「もともと商家の蔵だったのですが、何十年も空き家の状態だったんです」と渋川さんは説明します。

物件の活用を決め、七日町通りまちなみ協議会によってリノベーションしたのは2017年。4つの蔵を改装し、テナントが入居できる施設として生まれ変わりました。
「明治大正期のレンガ造りの蔵。大正ロマンというまちのコンセプトにぴったりの建物でした」
七日町の目指すまちづくりの象徴的な存在として、七日町パティオは地域の新たな交流拠点となっています。
名物「サムライプリン」を販売していたお菓子屋さん
今回募集するテナントには、2017年のオープン間もない頃から地元の銘菓「会津菓匠庵 すがの屋」が入り、7年間ほど営業していました。

「すがの屋さんは、七日町に合わせた新しいお菓子を開発されていました。『サムライプリン』という商品が特に人気で、結構売れていたんです」と渋川さんは振り返ります。
地域の皆さんに愛されていたすがの屋でしたが、昨年暮れに代表が逝去されたため、惜しまれながら閉店となりました。
「表がガラス張りで通りから中が見えるようになっているんです。すがの屋さんは、お菓子とコーヒーを一緒に提供するカフェ事業の展開なども計画されていました。次の方にも、様々なアイデアでこの場所を活用していただきたいと思います」
道路に面した好立地、居抜きでの入居も可能
今回募集するテナント区画は、4つの蔵のうち最も道路に近く、ガラス張りの1階で、目立つ場所にあります。
面積は約12坪で、家賃は月額15万円。「エアコンなどの設備は新しいものが全部入っていますし、お菓子用の冷凍ケースや冷蔵庫もそのまま使えます。居抜きで始めていただけますよ」

もちろん、お菓子屋以外での活用も可能です。設備の撤去も希望に応じて対応してもらえます。
さらに、「商工会議所を通せば、テナントの家賃補助制度も利用できます」と渋川さん。協議会も含めて、地域一体となった支援体制が整っています。
「ポンと事業を始めた時に右も左もわからないという状態ではなく、協議会メンバーに加え、商工会議所、必要であれば銀行もサポートしてくれます。ホームページでのお店の紹介や、パンフレットでの地図掲載なども行っています」

大正ロマンの世界観を大切にする方を歓迎
渋川さんや地域の方が求めているのは、七日町通りの特色を理解し、大切にしてくれる方です。「大正ロマンにこだわらなくてもいいんですが、このまちに来る人たちの期待に応えられる方がいいですね」
また、「明治大正期の蔵という歴史的な建物です。そういったものを大事にしてくれる人に来ていただきたい」とも話してくれました。建物の価値を理解し、まちの歴史を次世代につなげていく意識のある方を歓迎しています。
年間約45万人が訪れる会津若松の観光モデル地区で、まちづくりへの想いを持つ仲間たちとともに、歴史あるまちなみを未来に残す一翼を担ってみませんか。