技術を受け継ぐために必要なことを考える6日間。丹後ちりめんの郷・京丹後で、課題解決型インターンシップを開催 | ニホン継業バンク
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2022.07.26

募集終了


技術を受け継ぐために必要なことを考える6日間。丹後ちりめんの郷・京丹後で、課題解決型インターンシップを開催

インターン募集

300年以上の歴史を持つ丹後ちりめん

京都府北部に位置し、日本海に面する京丹後市。まちを歩くとどこからともなく「ガシャンガシャン」と機織り機が生地を織る音が聞こえます。丹後地域で300年以上前から受け継がれてきた絹織物「丹後ちりめん」は、生地全面の「シボ」と呼ばれる細かい凸凹があることが特徴です。

丹後ちりめんは、約2,000億円規模の売上を誇り、920万反を生産していた最盛期と比べると、生産量は2%まで縮小していますが、2020年に誕生300年を迎えたことを機に、ブランド「TANGO OPEN」を立ち上げるなど、積極的な発信に取り組んでいます。

しかし、60代以上の事業者が8割を占める織物産業において、高齢化にともなう担い手不足は喫緊の課題です。丹後ちりめんの技術を次の100年へ受け継ぎたい一方で、技術の承継は一朝一夕でできるものではなく、産業構造上の課題も抱えています。そこで、「継ぎたいけど継げない」から、「継ぐためにはどうしたら良いか」を考えるため、技術と産業について学び、その課題と未来を考えるインターンシップを開催します。

本プログラムを実施する理由

京丹後市では、織物業を中心にものづくり産業が発達してきました。市場の縮小とともに生産量が減少していますが、現在も国内の和装用白生地において丹後地域が約7割のシェアを占めています。

織物産業では親族間で事業を引き継ぐことが一般的でしたが、後継者がいない事業者は全体の9割にのぼります。丹後ちりめんの技術や文化を未来へ承継するためには、親族以外が継ぐ「第三者承継」や技術を学ぶ「弟子」といった多様な継ぎ方に対応することが必要です。

そこで、職業体験や事業者とのコミュニケーションを通して、織物産業の魅力と直面している課題を知っていただき、産地と一緒に解決策を考えるプログラムを京丹後市とニホン継業バンクで企画しました。「自分ならどのように織物産業に関わることができるか」「自分が継業するならどんなことがハードルなのか」など、参加者のみなさまと織物産業の継ぎ方を考えていきます。

プログラムの概要

参加者には、織物事業者での職業体験だけでなく、組合や研究施設、先進事業者の見学、講師によるワークショップを通して、織物産業の歴史や背景、魅力、抱える課題などを様々な角度から捉え、それぞれの目線で産業の未来へのアクションを考えていただきます。

<受入事業者の紹介>

①織元金重

1953年の創業以来、白生地と呼ばれる織物を製造しています。白生地のちりめんに模様をつけ、好きな柄を自在に織ることが可能です。織物製造の体験ができます。

父親から引き継ぎ50年目を迎える代表の田茂井康博さん

関連記事:海の京都と呼ばれる京丹後市で、着物文化を300年以上支えてきた「丹後ちりめん」の技術を承継

②丸栄織物工場

昭和8年創業以降、89年にわたって着物や帯を中心に、紋ちりめんという柄や文様を織り込んだちりめんの製造を行っています。機織り体験のほか、柄を決める紋紙データの作成も体験できます。

丸栄織物の工房の様子

③梅武織物株式会社

ネクタイや御守り、小物などの製織を手掛けます。合理化された生産現場で、アナログとデジタルの設備を使い分け、適用に応じて使い分けて生産されています。

3代目の梅田社長は、織機メーカーに勤務された経験を持ち、管理する設備は全て自分で修理やメンテナンスをしているという

④民谷螺鈿(8月24日情報追加しました)

西陣の伝統的織技法「引箔」の応用により、貝殻を織物にしています。着物用工芸帯の製作のほかに、木、革、漆などを使用した独自の織物を、ファッションやインテリア向けに螺鈿織とともに展開しています。

貝殻を織物に組み込む独自の技法

<講師の紹介>

1987年兵庫県生まれ。大阪芸術大学デザイン学科卒業。現在は島根県の世界遺産温泉津(ゆのつ)温泉街に「時津風」というギャラリー・物販とカフェ・スナック、サウナが一体となったお店を開業運営。

本プログラムの講師をつとめる小林新也さんは、2011年に伝統産業を中心に全国の商品開発やデザイン、ブランディング、海外販路開拓、後継者問題などに取り組む「合同会社シーラカンス食堂」を地元の兵庫県小野市に設立。従来の弟子入りという承継の形ではなく、必要に応じて地域の複数の職人さんたちに教えてもらいながらトレーニングできる刃物職人の後継者育成のための鍛冶工房「MUJUN WORK SHOP」をオープン。この取り組みは『 WIRED Audi INNOVATION AWARD 2019 』を受賞しました。

小林さんには、刃物産業の後継者育成の取り組みについての講義や、課題解決のアイデアを導き出すためのワークショップ、参加者のアイデアに対してアドバイスをいただきます。

兵庫県小野市にオープンした刃物職人後継者育成のための鍛冶工房

関連記事:江戸時代から続く地元の産業を「播州刃物」と名づけることから始まった、地域ぐるみでの継業。

小林新也さんコメント

伝統がつくものは、長い歴史の中でいろんな困難を乗り越えたものが今日に残されているのだと思います。今の問題も昔も同じようにあったかもしれません。今は効率化された社会基盤の上で伝統へ向き合っています。しかし、そもそもの「ものづくり」の時間軸と、我々の時間軸では大きな違いがあります。そのため、単年度で物事を考えたとしても、長期的ビジョンとそれに向かう数ヶ年で実行するプロセスをいかにデザインできるかが重要です。また、これに向かう揺るがない信念は、本質に辿り着いた思考がないと持てません。デザインの力が鍵となります。

<見学先>

①田勇機業株式会社

和装向けの製造のみでなく、独自の取り組みで、洋装・インテリア、アメニティなどに丹後ちりめんを広げる先進的事業者です。幅広く丹後ちりめんについて教えていただき、工場見学もさせていただきます。

田勇機業株式会社HP

②丹後織物工業組合

織り上がった絹織物などの繊維に含まれる不純物を取り除き、シルク本来の美しさと光沢を発揮させるための精練加工技術を見学します。

丹後織物工業組合HP

精錬加工を行っている様子(画像:丹後織物工業組合)

③京都府織物・機械金属振興センター

織物業と機械金属業を中心に、研究や技術支援等を行う京都府の公設試験研究機関。施設の見学を通して、産業の歴史を体系的に把握します。

京都府織物・機械金属振興センター

④新シルク産業創造館

これまで京丹後市では、「無菌周年養蚕による繭の大量生産」と 「繭、シルク(絹)の素材としての機能性」に着目し、 産学連携による基礎研究を進めてきました。その成果として、 無菌周年養蚕の手法を確立しました。 
現在は民間企業と連携し、京丹後市産の繭から、シルク・織物関連事業に取り組んでいます。

※人工の無菌環境で蚕を育成すること


「海の京都」と呼ばれる、京都府北部に広がる丹後エリアには、抜群の透明度と鳴き砂で知られる「琴引浜」や「丹後松島」、日本の夕日百選に選ばれる「夕日ヶ浦」など、山陰海岸ジオパークにも認定された美しい日本海の風景が広がります。

キャンプやサーフィン・ダイビングなどのアクティビティや、間人ガニ、久美浜ガキなどに代表される豊富な海の恵み。そんな豊かな環境に育まれたこの地域では、300年を超える歴史をもつ「丹後ちりめん」を代表とする織物づくりが今も息づき、日本の着物文化を支えています。この伝統産業を次の100年に受け継ぐために必要なことを、ぜひ一緒に考えてみませんか?

京丹後市網野町にある八丁浜海水浴場(画像提供:一般社団法人 京都府北部地域連携都市圏振興社)

募集要項

日程

2022年9月12日(月)~9月17日(土)(6日間)

 

9月12日(月)13:10 京都丹後鉄道・峰山駅 集合

(電車・新幹線を利用される方は、12:48もしくは13:02着の電車をご利用ください)

9月17日(土)13:00解散予定

※峰山駅〜会場間は送迎いたします。

募集人数

数名

※応募者数が多数の場合は、抽選を行います。

参加費

10,000円(宿泊費込み)

※峰山駅までの交通費、昼食費、夕食費は各自でご負担いただきます。

スケジュール

9月12日(月)13:30〜:オリエンテーション、シーラカンス食堂小林新也氏による講演

9月13日(火):各工房での職業体験

9月14日(水):各工房での職業体験 

9月15日(木):織物工業組合訪問・田勇機業 訪問

9月16日(金):午前/新シルク創造館の訪問、午後/課題解決案の検討(小林新也さんよりアドバイス)

9月17日(土):午前/課題解決案の発表、ディスカッション、午後/解散予定

9月18日(日)・9月19日(月・祝)は自由行動となります。ぜひ、京丹後を観光されてみてください。

スケジュールは追加・変更になる場合があります。その際は本記事にて追記いたします。

宿泊先

KISSUIEN Stay&Food

・宿泊は1人1室をご用意いたします。

・朝食付きです。夕食は各自でご用意ください。

・徒歩圏内には飲食店やコンビニエンスストア、京丹後市の移住相談支援所兼カフェスペース「まちまち案内所」があります。

利用する施設

かぶと山虹の家コワーキングスペース

2022年6月にオープンしたばかりの、久美浜湾内キャンプ場内に設けられたコワーキング・ワーケーションスペースです。砂州を挟んで日本海と隔てられた久美浜は日本海と違う景色を楽しめます。

 

まちまち案内所

京都府京丹後市峰山町にある、「まちまちな人が混ざり合い、待ち合わせできる場所」をコンセプトとした、誰もが寄れてほっと一息つける場所。京丹後市の移住相談支援所「丹後暮らし探求舎」や、カフェやコワーキングスペースが併設されています。

注意事項

・新型コロナウイルス感染症の拡大状況により、中止となる場合があります。

・参加には、ワクチン接種証明書の提示もしくはPCR検査、抗原検査が必要です。

・当日に発熱や体調不良の場合は、参加をご遠慮ください。当日は体温測定を行います。

・滞在時は、マスク着用、こまめな消毒にご協力ください。

・汚れてもいい、動きやすい服装でお越しください。

・工房は暑いことが予測されるので、熱中症対策や着替え、タオルなどを持参ください。

・イベント保険に別途ご加入いただきます。

応募締切

8月31日(水)

お問い合せ

京丹後市役所 商工観光部 商工振興課

0772-69-0440

その他

主催:京丹後市

後援:京丹後市観光公社

企画・運営協力:ニホン継業バンク(ココホレジャパン株式会社)

応募方法

こちらの応募フォームへのご記入をもって応募完了となります。

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