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2022.12.01

募集終了


【応募〆切1月13日まで】おもしろ店主に会いに県外からも多くのファンが訪れる。秘伝の味を承継する地域の名店の後継者募集

後継ぎ募集

循環型社会を目指す鹿児島県大崎町

九州の最南端でもある鹿児島県・大隅半島東部に位置する大崎町。町の南部を望む志布志湾では水産物に恵まれ、北部の広大な土地では温暖な気候を生かした良質な農畜産物が育まれています。

大崎町の代名詞といえばリサイクル。自治体別一般廃棄物リサイクル率日本一を過去14回達成しています。さらに、「リサイクルの町から世界の未来をつくる」というキャッチコピーで、すべての資源がリサイクル・リユースされて循環する「サーキュラーヴィレッジ・構想」を打ち出しているところです。コミュニティ組織でもある「衛生自治会」が中心となり、各自治会のごみの分別における指導や支援を行っています。

大崎町のまち全体でリサイクルに取り組んでいる。(写真提供:大崎町SDGs推進協議会)

また、ふるさと納税にも力を入れており、平成27年度には全国4位の寄附額を集めました。鹿児島県1位の生産量を誇るマンゴーや、パッションフルーツ、鰻など、食材の宝庫といわれる大崎町ならではの返礼品が人気です。ふるさと納税の寄附金を活用して、子育て支援のための事業や、北海道東川町と共同でおこなっている「リサイクル留学プロジェクト」など、町の未来をつくる活動に力を入れています。

飲食業界未経験の夫婦が営む「金太郎」

金太郎を切り盛りされている佐久間さんご夫妻

大崎町中心地から車で5分程走ったエリアに、町内だけでなく町外や県外からのファンを集める食事処「金太郎」があります。鹿児島県出身のご夫婦がふたりで切り盛りしています。ランチ時間はトンカツや唐揚げを求めるお客さんで賑わいます。

ふたりは2001年まで鹿児島市内でラーメン屋を営んでいましたが、出身地の近くでお店をやりたいと、大崎町に移転してきたそうです。かつてはラーメンもメニューにありましたが、厨房が手狭になったため、トンカツと唐揚げの2種類のみに切り替えました。

「金太郎」のこだわりは、信頼関係のある鹿児島県内の事業者から仕入れている材料を扱っていること。佐久間さんが毎日味をチェックし、それを奥様の妙子さんが調理してお客様へ提供しています。

大将の「揚げ技」から作られるトンカツや唐揚げは、お肉本来の旨味を引き出し、肉汁も溢れジューシーな味わい。揚げ方も特徴的で、2度揚げではなく、9割揚げて、1割は余熱で火を通しています。そうすることで、味や食感が良くなるだけでなく、スピーディに供給できるそうです。

ジューシーな唐揚げ
人気のヒレカツ定食(980円)。店長のおすすめはジャンボチキンカツ定食なのだとか

「金太郎」の特徴は、お客さん自身に配膳してもらうこと。初めて来店した方は驚かれることも多いそうですが、常連客は慣れたように注文したメニューを配膳していきます。

大崎町出身で役場職員の方は、金太郎の思い出についてこう話します。

「社会人になり剣道の大会の打ち上げを『金太郎』で開催した時の話です。一緒に行った先輩たちは常連だったからか、大将から「好きにやっていいから、ビールは自分たちで注いで、お金も自分たちでチェックしとけよ!」と言われていて。特にビールがセルフサービスだったのにはびっくりしました(笑)。焼酎の持ち込みもできましたし、夜の値段が安くて、そこに大将や『金太郎』の心を非常に感じました」

店内は民家の一角のよう。座って食べるスタイルで家のようにくつろぐことができる

奥様の妙子さんは、実は今でもこのスタイルには少し抵抗があるのだそうです。

「あまりウチの店のようなスタイルはないと思います。「お客さんになんてこと言うんだろうか…」って。きっとお客さんには「あの大将は変な人だな」って思われているんでしょうけど、小さな町だから成り立っているんだなと感じますし、私たちを受け止めてくれるお客さんには感謝しかありません」

店主である佐久間さんのキャラクターや、珍しいセルフサービスという体験が忘れられず、何度も足を運ぶお客さんもいるのだとか。店主のキャラを強く感じられる、人情味のある雰囲気のお店です。

周囲からの「続けてほしい」の声に応えたい

金太郎を始める前からラーメン屋を営み、飲食業に身を置いてきた佐久間さん夫婦。高齢になり、近いうちにお店を閉めようかと常連客に相談したこともあったそうですが、周囲からは「もうちょっと頑張ってほしい」との声をもらい、自分たちのお店が愛されていると改めて感じたのだそうです。

「今の場所へ移転する際、友人たちからは「中心地から離れているあの場所で商売をしても、潰れるぞ」と反対されました。でも、地域密着型にこだわってきたからこそ、口コミで評判が広がって、今では町外や県外からのお客さんも来てくれるようになりました」と、佐久間さん。

周囲の声に応えたい気持ちはあるものの、後継者がいないためお店の継続は半ば諦めていたところ、町役場が事業承継に力を入れていることを耳にし、相談して後継者を探すことになりました。

後継者に求める資質は、人見知りをせず、明るく社交的で田舎暮らしを楽しめること。

佐久間さん夫妻も飲食業界は未経験でスタートしたので、飲食業経験は問いませんが、社会人経験や飲食店での業務経験があることが好ましいです。最長3年間の任期期間中に、一生懸命粘り強く取り組む姿勢を持って、金太郎の味や、佐久間さん夫妻の人柄も受け継いでいただきたいです。

金太郎を運営されている佐久間さん夫妻の想い等を綴ったnoteはこちら

町役場が金太郎の後継者を募集する理由

大崎町の抱える課題として大きなウエイトを占めているのが事業承継。

コロナの影響や後継者不在で閉店を選択される商工業者さんがここ数年で増えてきているといいます。そういった面を少しでもサポートしていきたい気持ちから、地域おこし協力隊の任期中に承継の準備をすすめることで、後継者不在の事業者さんと移住して後継者になる方の不安を軽減できるのではと考え、制度を導入することにしました。

担当者の大崎町企画調整課 商工振興係・吉原聡さん

金太郎の後継者に求める人物像は、やる気と思いやりがあり、地域やお客さん、取引先等とのご縁を大切にするひと。

そして、「金太郎」が提供するトンカツや唐揚げの味にとどまらず、長年佐久間さん夫妻が紡いできたお客さんや地域の住民との関係性まで引き継いでいただくため、まちぐるみでサポートします。

まずは佐久間さんと一緒に働きながら調理技術を学び、金太郎の味を承継していただきます。3年の任期終了後に金太郎の建物で営業を継続するか、のれん分けをして町内に新しくお店を構えるかは、佐久間さんと町役場の担当者と相談しながら決めていく予定です。

数年後のバトンタッチが円滑に進むよう、佐久間さん夫妻がこれまで手が回らなかったSNSを通した情報発信や、夜の営業にも取り組んでほしいと話します。

吉原さんの上司 大崎町企画調整課 商工振興係長・児玉卓治さん。「住居の紹介や、お店周辺の地域住民の方々への紹介は町がサポートします」とのこと

事業承継する上で必要な制度や、資金調達に関する情報は商工会や金融機関も一体となって紹介できる体制も整っているとのこと。大崎町企画調整課のおふたりが「大崎町を盛り立てる仲間として、一緒に楽しく歩んでいきたい」とにこやかに話されていたのが印象的でした。

吉原さんと児玉さんの想いを綴ったnoteはこちら

太平洋を望む人口1万2,500人弱の大崎町で、飲食店の後継者としてチャレンジする方を町の職員もサポートします

12月27日には、大崎町の地域おこし協力隊をサポートする「地域おこし協力隊サポーターズ鹿児島」のyoutubeチャンネルで募集説明会の動画配信を行いました。オーナーの佐久間さん、大崎町役場の吉原さん、地域おこし協力隊サポーターズ鹿児島の吉村さんによる対談形式でお話を聞くことができます。

募集要項

事業者名

とんかつ 金太郎

事業内容

飲食店

所在地

鹿児島県曽於郡大崎町横瀬1861-8

雇用形態
  1. 大崎町との雇用契約は締結せず、委託契約となります。
  2. 委嘱した日から令和6年3月31日まで(令和5年度予算案の議案議決が条件)とし、最長2年間(令和8年3月31日まで)の再任が可能です。
  3. ※初年度終了時(令和6年3月)のミーティングにて、次年度以降の委嘱についての判断をさせていただきます。
  4. 隊員としてふさわしくないと判断した場合には、委託期間中であっても解任することができるものとします。
賃金/待遇
  1. 協力活動に対する人件費:年額280万円を上限とします。(※通勤手当、時間外手当等は支給されません。)
  2. 活動に要する経費:年額200万円を上限とします。(※上半期、下半期と分けて活動に要した経費の会計報告を求めます。経費の例は旅費、交通費、宿泊費、消耗品費、通信費、リース料、車両借上料など)
  3. 任期後も引き続き町内に住み、事業(個人事業主含む)を行う場合は、起業支援補助金を1回のみ申請できるよう調整中です。(上限100万円)
  4. 調理設備機材一式・店舗兼住宅・土地の承継方法(賃貸・売買)については、任期中に佐久間さんと直接交渉していただきます。
対象者
  1. 年齢 20歳~39歳(令和5年1月1日現在)
  2. 性別は問いません
  3. 現在、都市地域(例:東京都、鹿児島市等)に居住し、委嘱後、大崎町内に住民票を異動できる方。
  4. 普通自動車運転免許を有している方(AT 限定可) ※ペーパードライバー歓迎ですが、慣れていない場合は練習を行い、業務にて運転ができるようになっていただきたいです。
  5. パソコン(ワード、エクセル、パワーポイント等)の一般的な操作ができる方
  6. 心身ともに健康で、誠実に職務を行うことができる方
  7. 地方公務員法第16条に規定する欠格条項に該当しない方
  8. その他

・地域おこし協力隊に意欲と情熱があり、地域となじむ意思がある方

・写真・取材等、メディア露出可能の方

・自治会への加入ができる方

・退任後も大崎町に居住が見込める方

継業までの流れ

①継業バンクを通じて問い合わせ

②所定の書類を大崎町企画調整課に郵送(必着)又はメール

書類:地域おこし協力隊応募用紙、地域おこし協力隊活動目標、住民票、運転免許証のコピーの4種類

③書類による1次選考

④現地での2次選考(日程:令和5年2月11日(土)~12日(日)

⑤採用

⑥3年間の任期終了までに地域おこし協力隊として調理技術を習得

⑦継業

既存店舗を引き継ぐ形で事業承継するか、町内の適地で新たに出店(技術承継)するかは任期期間中に検討いただきます。

募集期間

令和5(2023)年1月13日(金)17:00まで

問い合わせ先

〒899-7305

鹿児島県曽於郡大崎町仮宿1029番地

大崎町企画調整課 商工振興係 担当:吉原

TEL:099ー476-1111(内線222)

まずは下記お問い合わせフォームよりお問い合わせください。担当者より募集要項の詳細をご連絡いたします。

その他

地域おこし協力隊制度に関する詳細はこちらをご覧ください。

その他の継業情報