北海道芦別市で1989年に創業し、印刷業やOA機器の設置販売を営んできた、株式会社あきやま印刷。
急な依頼や難しい注文にも応える地域密着型の経営で、「困ったときのあきやま印刷」と言われるほど地元の企業や行政機関から厚い信頼を得てきました。

現代表の仲鉢(なかばち)さんは1990年から従業員として同社に勤めていましたが、先代社長が逝去した2003年に会社を買い取り、経営者としての歩みをはじめました。今も多くの注文を受けているものの、自身の年齢や経営に必要な体力面での不安を感じており、数年後を目処に事業を引き継ぎたいと考えています。
長年にわたり従業員としても会社を支えてきた奥様の助言もあり、一度は廃業を考えた仲鉢さんですが、地域の需要に応え続けるために次の世代へバトンを渡したいという想いから、今回の募集を決意しました。
強みは仕事の早さ。大至急にも対応する機動力
あきやま印刷では、事務用帳票類(納品書や領収書など)をはじめ、チラシや名刺、パンフレット、ポスターなどの印刷を手がけてきました。従業員4名の小規模な会社ながら、芦別市役所や地域の企業、商工会議所など、多数の固定客を抱えています。
同社の最大の強みは、対応の早さです。他社ではできない短納期・大至急の注文にも全力で応えてきました。
「先程も名刺を300枚、今日中になんとかなりますかと連絡がきて、”なんとかします”と言ってしまいました」
何よりもこの早さが、大きな信頼につながり、現在でも営業活動はほとんど行っておらず、固定客からの電話注文や持ち込み対応が中心となっています。
基本的に印刷物は内製で製造。一部、特殊な印刷や大量発注は外注を活用するなど、案件に応じて柔軟に対応しています。
デザインやDTP業務は、社員の1人がオペレーター兼デザイナーとして担当しており、経理は仲鉢さんの奥様が担当しています。
仲鉢さんは、外回りから機械操作、修理まで自ら対応し、固定客との信頼関係を大切にしながら堅実な経営を続けてきました。元々機械好きなこともあり、溶接や修理も自ら対応できるため、機械トラブルが発生しても迅速に解決できる点も大きな強みです。
自ら改造した印刷機で、芦別市内で唯一取り扱っている間伐材を活用した木製印刷製品
仕事の早さに加えて、あきやま印刷のもう1つの特徴が、芦別市内で唯一取り扱っている間伐材を活用した木製商品です。ヒノキ、スギ、トドマツ、カバといった間伐木材を使用した「木の名刺」は、自社ホームページを通じて全国から注文を受けており、市のふるさと納税の返礼品にも選ばれています。

この木の名刺を実現したのは、機械好きな仲鉢さんが独自に改造した印刷機。通常の紙の印刷機では、木材の厚さに対応していないため、木材でも印刷できるよう仲鉢さん自ら印刷機械を改造しました。
「最初は苦労しましたよ。引っかかって壊れちゃうんです」
一般的に木製の名刺は割れやすいイメージが強いですが、あきやま印刷の木製名刺は、極薄の板の間に和紙を挟んだ台紙を使うことで、薄さとしなやかさを兼ね備えた商品に仕上がります。また、材質によって異なる木の香を壊すことなく、木がなす特有の木目が最大限活かされるように開発を行いました。 木の名刺以外にも、木のハガキ、木のうちわ、木のしおり、木のカレンダーなど、多様な木製商品を展開しています。これらの商品は少量でも高単価で販売でき、大手にはない独自の魅力として全国の顧客に支持されています。

印刷業全体としては年々その需要が減ってきているとのことですが、木の名刺をはじめとする、あきやま印刷独自の技術を活かすことで、新たな顧客開拓等の可能性も十分秘めています。
OA機器販売で安定した売上を確保
印刷業に加えて、OA機器の販売・設置も同社の重要な事業の一つです。特に直近数年は大型の取引もあり、同社の経営を支える1つとなっています。
納入先は、市役所や消防署などといった行政機関。印刷業と比べると利益率は低いですが、売上ベースでは大きな割合を占めています。
また、隣接する赤平市には株式会社あきやま印刷の100%子会社である有限会社があり、赤平市役所の入札参加資格も有しています。印刷はもちろんのこと、OA機器事業についても赤平市の受注を請け負っており、事業承継する際にはこの子会社も譲渡の対象となります。 年間売上は子会社も含めて通常約2,800万円ほど。パソコン納入案件などの大型案件がある年は5,000万円に達することもあります。
機械好きで責任感のある人材を
今回、株式会社あきやま印刷では、芦別市の地域おこし協力隊制度を活用して、将来の後継者候補を迎え入れます。
協力隊期間中は、現代表と共に印刷業務の全般を学び、協力隊卒業後に、株式を譲渡する予定です。譲渡条件(金額)については、双方の話し合いで決定します。
印刷業の経験は必須ではありません。現代表自身も従業員から経営者になった経緯があり、協力隊期間中に丁寧に教えていきます。
デザインやDTP業務については、現社員が対応しているため必須ではありませんが、印刷業を営む上では必要なスキルのため習得できると良いかもしれません。
求めているのは、機械好きで印刷機械の操作やメンテナンスができるような技術志向の方です。また、固定客との信頼関係を維持できる責任感があること、短納期対応など顧客の期待に応えられることも大切な要素です。 地域の「困ったとき」に応えられる印刷会社を残す、その想いに共感してくれる方からの応募をお待ちしています。

