被災した「輪島塗」の産地を応援したい。いつかまたものづくりができる日まで。全国から漆器づくりの機械・道具を募集します。
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2024.01.25

被災した「輪島塗」の産地を応援したい。いつかまたものづくりができる日まで。全国から漆器づくりの機械・道具を募集します。

募集

2024年1月1日、石川県能登半島を襲ったマグニチュード7.6の地震は、半島全体に大きな傷跡を残しました。津波や余震、地震に伴う火災により、多くの人命や日常生活が失われました。

能登半島の北西にある石川県輪島市も例外ではなく、輪島のシンボル「朝市通り」は多くの建物が倒壊。さらに大規模火災が発生するなど、甚大な被害を受けました。

輪島市は日本が誇る伝統工芸「輪島塗」の産地として1000年以上の歴史を誇ります。人口の約5%が輪島塗・輪島漆器関連に従事。大きな工房だけでなく、20代、30代の若い世代の職人、個人の作家もたくさんいますが、今回の震災で、ほとんどの漆器屋、職人、作家が製造できない状況に見舞われました。

ものづくりに関わる全国の人たちが心を痛めるなか、福井県で越前漆器の木地職人として活動する「ろくろ舎」の酒井義夫さんが声をあげました。それが漆器製造における機械・道具類寄贈プロジェクト「あつめる、つなげる、やってみる」です。この震災で被災された、輪島塗をはじめとする漆器の職人のみなさんが改めて動けるようになった時に、「つくること」の助けになるよう、全国から漆器づくりの道具・機械を募ります。

職人の命である道具を集めることが輪島塗復興の一歩に

いくつもの工程を経てつくられる優美な輪島塗(画像出典:石川県観光公式サイト:ほっと石川旅ねっと

輪島塗は国産木の木地を使用し、下地から上塗りまで天然漆を塗り重ねることによって仕上げる、日本を代表する伝統工芸のひとつです。1つの輪島塗を作るのにも124もの工程に細分化され、6〜7人の職人が協力して技術を発揮することによりはじめて完成します。

また、器に施された金や銀、螺鈿などを使った装飾(加飾)も輪島塗の特徴のひとつ。1000年以上にわたり、その技術が継承されてきました。

漆器の表面に絵柄を彫り込み、溝となった部分に漆を接着材として塗り重ね、模様を書き出す繊細な技術(画像出典:石川県観光公式サイト:ほっと石川旅ねっと

ところが、今回の未曾有の事態により、多くの輪島塗事業者の自宅や工房が大きな被害を受け、漆器づくりに欠かせない機械や道具も消失してしまいました。

道具は漆器づくりの命です。漆を掬き取ったり混ぜたりする時に使う「ヘラ」や丸い曲面を再現するための豆鉋(かんな)など、作業内容や工程によって何種類もの道具を使い分け、つくるものの形状や職人自身の手に合わせ、道具も職人自らがつくり出します。

また、漆を塗る「漆刷毛(うるしはけ)」の素材には人間や馬の毛髪が使われており、職人が手で持てる長さまで何回も切り出して大事に使用しています。貴重な素材が多くデリケートな技術を要することから、道具の作り手自体が少なくなっている状況です。

職人たちのなかには、現在も避難所生活を余儀なくされている人が多数いて、生活の再建にも手一杯の状況だと思います。しかし彼らがこれから、漆器づくりを再開しようとしたときに欠かせない道具や機械も集めることも極めて困難な状況であり、その困難さから産地を離れる人が増え、この地で培われてきた大事な技術も失ってしまうかもしれません。

「またものづくりができる」その思いが未来の希望になる

プロジェクトの発起人、ろくろ舎の酒井義夫さん

そんな状況に、声を上げたのが石川県の隣、越前漆器の産地である福井県鯖江市河和田の木地職人・酒井義夫さんでした。同じ職人としてできることはないか、今できることを考え、仲間に呼びかけたSNSの投稿には、想像を超える賛同や協力の声が集まりました。

ー酒井さんの投稿よりー

漆器を製作する際に使用する機械や道具類は

新たに製作することが難しいものや

高額になってしまうものも多く

時間をかけてインフラが整備されたとしても

仕事に戻ることが困難な場合が多いと予想されます。

そこで、ろくろ舎に保管していた機械や道具類を寄贈しようと考えています。

ですが、自分の力だけでは微力です。

そこで、全国のあらゆる漆器に関わる皆様にお願いがあります。

使っていない、眠っている機械、道具類をお譲りいただけませんでしょうか?

まずは可能な限りあつめて

そして友人たちにつないでいく。

直感的ではありますがまずはそれをやってみようと思っています。

「漆器の道具よりも『今は生きていくための支援の方が大切だ』という考えもあるかもしれません。でも、やれることがあるというのはすごく大事な気がしてて。復興には長い時間がかかると思いますが、作り手にとっての希望は『作ることそのもの』ではないかと僕は感じています。1日でも早く、『また漆器づくりができるかもしれない』『道具も見つかるかもしれないぞ』と職人たちの心の支えになるようなことができればと思っています」と酒井さん。

この投稿以降、さまざまなメッセージが酒井さんのもとに届いています。なかには「集まったもののうち一つでもいいので譲ってほしい」といった個人の職人からの切実なメッセージも。

「大きな工房や団体に所属している人だけでなく、個人の職人もいます。そして彼らにはなかなか支援が行き届かないのが現状です。この震災を機に、漆器をやめよう、輪島を離れようという方も多いと聞きました。道具は産地や職人によって微妙に異なるので、思い描く形状や使い勝手のものを分けることはできないかもしれません。しかし今は、また『輪島塗を作りたい』という思いや『復活するんだ』という小さな希望が、ものづくりの再起につながると信じています。ぜひ心当たりの方につなげていただけると幸いです」

取材・文:石原藍

写真:ろくろ舎より提供

募集要項

あつめる、つなげる、やってみる

漆器づくりに必要な使っていない、眠っている機械、道具類をお譲りください。現状、いつになるかは決まってはおりませんが、しかるべきタイミングで信頼できる方にお渡し、必要な方々へ分配したいと思っています。

寄贈を募る道具の例

・漆風呂

・漆刷毛

・蒔絵筆

・ヘラ

・轆轤

・カンナ

・砥石

・小刀

・計器

 etc……

※全てをお引き取りできない場合もあります

お問い合わせ

寄贈または支援、協力をお考えの皆様は、以下のURLからフォームに入力をお願い致します。

https://form.run/@atsumerutsunageru-01

その他の継業情報