中小企業の事業承継で、日本をおもしろくする会社「SoFun」が、承継先企業の経営を担う仲間を募集 | ニホン継業バンク
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2023.05.23

中小企業の事業承継で、日本をおもしろくする会社「SoFun」が、承継先企業の経営を担う仲間を募集

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地方銀行出身者が設立した、中小企業の承継問題を解決する会社「SoFun」

「中小企業の後継者として、社長になりたい人を募集します」

そんなユニークな会社が現れました。滋賀県近江八幡市に事務所を構える「SoFun」は、承継問題を解決すべく、地方銀行出身者が設立したスタートアップです。会社として事業承継を専門に扱い、中小企業の後継者を公募するとはいったいどういうことなのか。その仕組みや求める人材について、創業メンバーの𠮷川友さん(代表取締役)、手操(てぐり)圭介さん(取締役CSO)、平井裕章さん(取締役)にお話をうかがいました。

ーーまずは、3人の経歴と「SoFun」創業の経緯を教えてください。

𠮷川さん 3人とも、地元の銀行で働いていました。

私は、営業の現場に15年くらい身を置く中で、事業承継が年々問題になり、7~8年ぐらい前から中小企業のM&Aをたくさん支援してきました。でも、地方の小さい規模の会社だと、財務諸表を見た瞬間に「ダメや…」と判断されてしまうような状況なんです。なにしろ、最低手数料が2,000万円ですからね。

SoFun代表取締役・𠮷川友さん。2021年1月にSoFunを起業し、同4月には、自らも当事者として「株式会社ミサキ」(建設業/京都府京都市)を事業承継している

でも、銀行員としての長い経験の中で、中小企業なので財務はキレイではないけれど、よくよく見たら実際の収益がしっかりしている「いい会社」はいっぱいあるということを僕たちは知っています。そういった「通信簿に現れない強み」が蔑ろにされて、手数料が払えるか否かで判断されてしまうことに、とてももどかしさがあったんです。

ここ数年で少し状況が変わり、いろんなプレイヤーも参入して、事業承継の裾野は広がってきたとはいえ「同業者に売却情報をばらまいて、承継後のことは関知しない」など、雑なケースがほとんど。このやり方では、廃業の数を減らしているだけで、日本経済にとって何の意味もないのではないか、と思うようなりました。

そんな時に、サーチファンドの記事を読んだことが転機になりました。たとえば「イグジット(会社売却)しないサーチファンド」、そんな枠組みで取り組みができないかと考えた時に、銀行内でできることは限られてる。これはもう、自分が事業承継を実践しながらやるしかないな、と。それが「経営者を増やす取り組みをしながら、“ポテンシャルのある企業を伸ばしていく企業”を自分でつくっていく」という構想でした。

でも、ひとりでやっても広がりがない。飛び込んでいくのは得意だけど、仕組みをつくるのは苦手だし、どうしても仲間が必要でした。そこで相談したのが同期の手操です。

※:サーチファンド(Search Fund)とは、国内外のMBAホルダーや社⻑業経験者など、将来有望で優秀な個⼈(事業承継希望者:サーチャー)が国内外の投資家から⽀援を受けながら⾃分が社⻑になりたい会社を探し、売主への資⾦決済の後に承継する仕組み。担い手であるサーチャーは、通常5~7年かけて企業価値向上に取り組み、上場やMBO、第三者売却等のイグジットを迎えるのが一般的。

“支援” では間に合わない。承継の “当事者” になるしかない

ーー手操さんも、𠮷川さんと同様の思いを抱えていたのでしょうか。

手操さん 𠮷川と同じく営業マンでしたが、ここ数年は事業承継のコンサルティングを担当していました。

まず経営者のお困り事を聞くところから始まり、株を渡すところまでプランニングしていく仕事です。約3年で400社以上は関わらせていただいた後、しばらくビジネスマッチングの仕事に就くのですが、紹介に対して手数料をいただくという取次を繰り返すうちに「結局は、手数料を払えるいい会社を紹介してほしい人たちしか世の中にいないのか?」という問いを抱くようになるんです。

SoFun取締役CSO・⼿操圭介さん。最⾼戦略責任者として、企業の戦略⽴案を⾏い、実⾏プロセスを構築する

それで、コンサルティングの経験を活かして部署内にチームをつくり、中小企業が良くなる取り組みにチャレンジしました。でもいざやってみると、本気で変わろうと思っている会社がいかに少ないかということや、外部から「よかれと思って」くらいの立場で関わるだけでは、根本的にその会社に良くなってもらうのは難しいという気づきがあって。

色々試行錯誤していると、とにかく圧倒的に時間が足りない。「これはもう、人生が足りない、外に出るしかないぞ、当事者になるしかないぞ」と、ちょうど銀行を辞めようと思っていたタイミングで、𠮷川から相談を受けたので、SoFunの設立に参画しました。

地方にも、おもしろい会社や働き口を増やしたい

ーー平井さんは入社年度は違うけれど、手操さんと同じ部署だったんですよね。どんなお仕事をされていたのでしょう。

平井さん 私は銀行に12年いて、半分が法人営業、残り半分は本部におりました。

手操さんと同じ部署でベンチャー企業の支援を担当した時に、「地方からはどうして上場企業が出ないんだ?」とか、「もっと面白い会社や働き口が地方にもあったらいいのに、どうしてないんだろう?」と考えるようになりました。

SoFun取締役・平井裕章さん。𠮷川さん同様、継業当事者として2022年に「ソブホールディングス株式会社」(建築不動産業/滋賀県草津市)を事業承継している

その一方、本部でファンド業務をやる中で、融資ではなく出資の世界を味わった時に、初めてお客さまとの距離がぐんと近くなり、パートナーという感覚になれたんです。融資だとそうなり得ない。出資すると、そのお金が生きるも死ぬもお客さんの業績次第なんですよね。ほんとうに物事を変えようと思ったら、出資というエクイティ(株主資本)を使った支援をしなければ変わらないんじゃないかということを身をもって知りました。

だから、𠮷川さん、手操さんから話を聞いた時に、僕が思っていた課題を全部解決できるようなビジネスなので、これはもうやるしかないと、即決したんです。

事業承継は、企業が再成長する一番のタイミング

ーーみなさん地元が滋賀ですが、地元をよくしたいという思いから始まったのでしょうか。

𠮷川さん いや。日本全体の経済成長に対する課題感ですね。日本の低生産性を改善するためには、中小企業が良くならないと絶対に無理なんです。

経営者とともに資本が変わる、そのタイミングで再成長されている企業はすごくたくさんあるので、事業承継は、企業が再成長に向かう一番のチャンスだと思うんです。後継者不足や事業承継問題を解決しようと思っているわけではなく、事業承継をきっかけに日本の低成長を改善すべくやっていこうというのが僕らの姿勢です。

ーー相談がたくさん持ち込まれる中で「この企業を承継しよう」と判断するポイントは。

𠮷川さん 収益性、将来性ももちろん見るんですが、その業界全体も含めて俯瞰で見ていきます。

さらに、事業承継をきっかけに、地域の中核に成長できるような企業をつくるのが目標なので、産業再編も含めて考えています。業界全体の川上か、川下か、どこに位置する会社なのか、どこから変えるのか。

業界の中でしっかり調査をして、事業承継によって地域産業を「伸ばせる」と考えられる企業であるということを一番の基本にしています。業種は全く問いません。

手操さん 地方の会社、小さな会社でも、その地域には必要で、ゆくゆくその同業者も厳しい状況になってきた時に、地元の潮流すべてを支える存在になっていける可能性がある会社。そういう会社は、短期的な目線では業績が良くないように見えても、長期的に見れば永続性がある、というケースもたくさんあるので、そこを見極めています。

ーー2025年には、団塊の世代が一斉に現役を引退される。ここを再成長のタイミングととらえることもできますね。ところで、SoFunは2021年4月に創業ということなので、3年目です。今はどういう状況にありますか。

𠮷川さん 最初の1年は、中⼩企業単独では持ち得ない機能をチームとしてもつことをコンセプ トに、経営を維持向上していくための仕組みづくりに注⼒しました。

僕と平井が実際にそれぞれ地元企業を承継して経営者となり、そこで起こったことや当事者として考えたことを一つひとつ洗い出し、それを元に手操が仕組み化していくというやり方です。仕組みが整った今は、後継者候補を集めることと、お困りの企業や承継する企業を探すという2点において、広げていこうとしている段階です。

𠮷川さんが実際に事業承継をした、あと施工アンカー事業を中心に、ダイヤモンドコア工事や耐震補強工事を主に請け負う「株式会社ミサキ」。自らが経営の当事者として得た課題や知見が、SoFunの仕組みに活かされている

(関連記事:「通信簿に現れない強み」こそ魅力。事業承継型投資を行う会社を設立した元銀行員が未知の建設業界にダイブ!

後継者候補にはすでに延べ500人ほどエントリーいただいていて、試験や面接を経て選抜した十数名が、承継先を検討している段階です。案件検討の段階から候補者に入ってもらって、一緒に承継先を決めていくという感じで、もうすでに承継が決まっている方もいます。もっともっとたくさんの経営者候補、後継者候補の方に手を挙げていただきたいです。

ノートパソコンには、SoFunとして事業承継した会社のステッカーが順番に貼られていた

ーーSoFunが(承継する)企業の株式を買い取り、一緒に経営を行うということで、個人保証を極力排除し、負担の少ない承継の土台を用意されているというのはとても魅力的だと思います。どんな方が応募されていますか。

手操さん 年齢の幅は広くて、30代~50代ですが、30代が多いです。そして、半分くらいはUターン希望層。

例えば、都市部から地元に戻るときに、それまでのキャリアに見合った収入が得られる会社がない。そういう場所がなければ、どんどん地方が廃れてしまう。そういうことに問題意識を感じていらっしゃっる方が多いですね。自らのキャリアと課題意識が合致する、というイメージです。

また、すでに中小企業の経営者の近くで仕事をしていて、経営者でなければ会社を変えられないとか、経営者の仕事がいかにインパクトがあって人を幸せにできる仕事かということを知っていて、自分がそれにチャレンジしてみたいと思っている方も。生き方やマインドでSoFunの取り組みに共感してくださる方が多いように思います。

滋賀県近江八幡市の本社のほか、すでに九州、瀬戸内にも子会社を設立。2023年6月に関東にも子会社を設立することが決まっている

日本をおもしろくする仲間を募りたい

長い付き合いのある3人。SoFun(とても楽しい)という社名はすぐに決まったという

ーーSoFunのユニークさのひとつに、「チーム型経営」がありますね。

手操さん 社内だけでなく、我々がチームでやっているということを知って、協力を申し出てくださる社外メンバーもたくさん集まってくださっています。

まず経営者として入って何をやっていいのかわからないというところは、我々の知見を共有して、こういう順番でやればいいんじゃない、と教えることができる。そこから先の部分に関しては、たとえばプログラマーやマーケティングのプロなどが必要となった時に、チームなのでどんな方でも連れてくることができる。

そんな感じで、何段階かで安心できる環境があるかなと思っています。

𠮷川さん ひとりでやろうと思うと、経営者として現場を見る必要もあって難しいと思うので、そこは内部と外部とがチームで連携ができるととても助かる。その仕組みを最初の1年でしっかりつくってきました。

平井さん たぶん、最初にひとりで経営者として中小企業に飛び込む時が一番ハードルが高いと思うんです。でも、その手前に仲間がいて相談相手がいるというのがめちゃくちゃ大きいんじゃないでしょうか。入ったあとはいろんなプロがいて、いろんな意見が聞けるので、自分ひとりでやるより断然早く、まっとうに進んでいける気がします。

ーー今回は、SoFunチームの一員として、中小企業の後継者になりたい仲間を募集されるということですね。

手操さん はい。エントリーされた方にいつも問うのは「なぜ経営者になりたいんですか?」ということです。

裁量権を持ち、責任のある仕事で自ら成長していきたいと考えていることが第一です。さらに、その仕事を取り巻く方々に幸せな影響を与えていきたい、組織の中でサラリーマンをやっていたのではできないことをやっていきたいと思っていらっしゃる方がいいなと思っています。

あとは、SoFunの持つ課題感や日本を変えていきたいという思いに共感して、一緒に夢を追いかけていきたいと思ってくださる方、チームで協力しあってひとりでではできない大きなことを成し遂げたいと思っていただける方というのが、望ましい。

自分のアイデアを、泥臭く組織の中で四六時中実行するというのがリアルなので、能力よりマインド重視といったところでしょうか。

ーーキャリア、能力は申し分なくても、マインドが合わない場合もあると。

手操さん そうですね。「地方を元気にしたいんです」と言っていても、いざ「本当にやりますか」となると「何かお手伝いできることがあれば…」と一歩引き下がってしまう方もいらっしゃいます。

あとは、「いろんな会社を支援したいんです」とか「知識を提供するので、誰かに自分のアイデアを実行してもらいたい」「会社を買いたいのでお金を出して欲しい」という場合ですね。

いずれも、自分が主人公、当事者になるんだという思いが足りなかったり、チームで志を共有して取り組んでいきたいという思いがない。そういう場合は、お断りすることになりますね。

𠮷川さん 案件検討のところから一緒にやっていくんですが、その過程でもお互いの考え方などを共有できるので、大事なところかなと思っています。

あと、いろいろな案件を見ていくうちに、意外とキャリアの延長線上じゃない会社を選ばれるという方が多いのも、おもしろいです。

手操さん ひとりで情報を集めていた時は他業種への挑戦は難しいと思っていたけど、SoFunの輪に入っていろんな人の話を聞いているうちに、別に業種にこだわらなくてもいいと思えるようになったという声は多いですね。

エントリーは、男性の方が圧倒的に多いです。やっぱり、マネジメントを経験される中で共感に至られる方が多いので、今の社会構造として、どうしても男性の方が多くなるということでしょうか。女性の方にも、ぜひ手を挙げてもらえたらうれしいですね。

𠮷川さん マネジメントの仕事で失敗してる人とか、最高じゃないですかね。僕は銀行員時代にマネジメントでむちゃくちゃ失敗していて、それが今、生かされていると思ってるので。

手操さん ははは。「失敗した、って思ってる人」くらいがいいですかね。

SoFunのホームページには、「日本は、中小企業が元気になれば必ずおもしろくなる」という力強いコピーが躍ります。外部からアドバイスを行う「支援者」ではなく、自ら強い思いをもって事業を承継する「当事者」へ。何より、ひとりではなくチームで挑戦できることに、強みや頼もしさ、柔軟性があります。SoFunのイノベーティブな思いに共感する方々から、中小企業のあたらしい後継者が生まれることをわたしたちも楽しみにしています。

(取材・文:高橋マキ/写真:酒谷薫)

募集要項

事業者名

SoFun株式会社

※実際の勤務先は承継先企業となります

住所

滋賀県近江八幡市倉橋部町243

※実際の勤務先は承継先企業となります(承継エリアは関東・関西・中四国・九州)

 

ホームページ

https://www.so-fun.co.jp

雇用形態

雇用形態:役員(承継先企業との委任契約 )

報酬:承継先企業選定と並行して決定

休日:承継先企業による(経営者であり仕事次第では休めないこともあります)

承継までの流れ

①候補者としてエントリー

info@so-fun.co.jpまで履歴書・職務経歴書・志望動機を添えてご連絡下さい。

②選考(書類・面談)

③正式候補者として登録(秘密保持契約書等を締結)

④弊社提携機関(金融機関等)からの相談案件に対する投資検討

⑤候補先企業を訪問、承継に向けた交渉、投資実行

⑥現職を退職し、承継先の役員就任(数か月の退職待ち期間があっても大丈夫です)

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