山間の集落の生業を体験
鳥取県智頭町、岡山県西粟倉村に接する美作市の梶並(かじなみ)地域にある中右手(なかうて)は、20世帯30人が暮らす山間の集落です。住民主体となった「中右手おもてなし隊」に移住者が加わり、Airbnbをはじめたり、築110年の蔵を改装したサウナをつくったり、小さい集落ながら、移住者や新しいアイデアを受け入れながら、独自の活動を進めています。
また同じ地域の立木集落では、持続可能な地域づくりのため、地域の生業の承継に積極的に取り組んでいます。2020年には、市役所と連携して、川魚の養殖と釣り場の管理を行っている「右手養魚センター」の承継が成立しました。
今回の体験ツアーは、中右手で引き継がれてきた生業の継業に興味を持っていただける方を対象に、集落の生業を体験してもらう短期のインターンシップです。
高級和紙の原料「みつまた」
ひとつ目の体験は、「みつまた」の一次加工。
みつまたは、日本の野山に自生する植物で、紙幣や高級和紙の原料となります。昔は多くの農家が、冬場の副収入として収穫、加工をしていました。しかし、時代の流れとともに担い手は激減してしまい、中右手集落でも右手(うて)忍さんがだだ一人続けるのみとなってしまいました。
右手さんは、この仕事を集落に残したいと後継者を募集しています(募集記事はこちら)。今回は、みつまた加工のうち、みつまたを蒸して、皮をはぐ工程を体験することができます。
夏まで出荷できるカーネーション
ふたつ目の体験は、カーネーション農家です。
中右手にほど近い梶並(かじなみ)地域内で、カーネーション農家を経営されている岸本芳人さんは、岡山県北の涼しい気候を活かしたカーネーション栽培を行っています。通常、カーネーションは春先までの出荷ですが、岸本さんの圃場では夏頃まで出荷をすることができるのが特徴です。
岸本さんは現在、ご夫婦とアルバイト1名で、一町二反(約1.2ヘクタール)に、4棟のビニールハウスで営農しています。2022年の秋頃に市と連携して、後継者を募集する予定ですので、継業に関心を持たれた方は、ぜひツアーに参加いただき、岸本さんとお話してみてください。
継業の先輩たちと地域の拠点も訪問
このインターンシップでは、すでに継業を進めている「右手養魚センター」の譲り手・右手信幸さんと、姫路市から移住して継ぎ手となった宇都宮健二さんとお話する機会もあります。
集落のことや、継業、移住について、疑問や心配事を先輩に直接聞いてみてください。
そして、ツアーの最後には、「中右手おもてなし隊」の拠点である宿泊施設「パブリックハウスアンドサウナ久米屋」を見学していただきます。
久米屋は、地域住民と移住者が改修した施設で、普段は1日1組限定の利用になります。
今回は特別に、希望者は「蔵サウナ」を体験することができますので、ぜひ汗と一緒に1日の疲れを流してください。
「どんな仕事なのか」
「継いでもうまく経営できるのか」
「住むところはあるのか」
「地域の人たちとうまくやっていけるのか」
いきなり継ぐのはハードルが高い、継業に興味はあるけれど、不安も多い…という方は、この機会に地域の生業を体験してください。きっと、あなたが残したいと思える日本の原風景と出会えるはずです。