工務店の信頼に応える木工所
西都市の中心部から北西に10キロ弱。宮崎県中部を流れる一ツ瀬川水系の本流、一ツ瀬川の支流・三納川が流れる三納地区は、農業を基幹産業とする田園地帯です。梅崎木工所の梅崎正孝さんは、父親から家具や建具をつくる木工所を引き継ぎ、この地域で長年ものづくりに打ち込んできました。
梅崎木工所でつくるのは、扉や障子などの建具と、仏壇や箪笥の昔ながらの日本の家具類。ときには茶席の用意を調えるためにお茶室内に設ける水屋をつくることもあります。
仕事の多くは宮崎県内の工務店から発注される住宅の新築やリフォーム工事に伴う建具の製造。たしかな技術に裏付けられた長年の仕事ぶりから、工務店の信頼は厚く仕事が途切れることはありませんでした。
自分の手仕事が、取引先の信頼に応え、お客様に喜んでもらえることに、職人ならではの喜びと達成感を得る一方で、高齢になり、体調に不安を感じることも増えました。
信頼してくれる大切な取引先への影響、従業員や技術の継承などを多角的に考慮し、事業を引き継いだほうが、様々な課題を解決できると判断し、事業を譲渡しようと考えました。
いい材料、いい仕事、いい製品
梅崎木工所のこだわりはいたってシンプルです。
いい材料にこだわり、いい仕事をし、いい製品を作ることで工務店はもちろん、家主に喜んでもらう仕事をすること。
「とにかくいい製品をつくりたい」と梅崎は言います。
特に、細心の注意を払っているのが材料選び。国産の檜、杉、外国産の檜葉(ひば)をじっくりと吟味し、納得したものだけを使用しています。
そして、それを扱う職人の技術は他には負けないと自負しています。
事業が順調な中にあって、梅崎さんが課題としてあげるのは、製造力と原材料高です。
仕事の依頼は多いものの、技術者が不足しているため、すべての発注にこたえることができていません。また、材料の高騰が続き、利益率が低くなってきているため、価格への転嫁を検討する必要があるかもしれません。
継ぎ手については、「人付き合いがよくてまじめで、従業員を大切にしてくれる人がいい」と梅崎さん。
もちろん、建具製造の経験がある人が望ましいですが、仕事は途切れることなくあるので、技術者を雇用すれば、自身は経営に専念することもできるかもしれません。
木材加工での独立・起業を検討されている方には、好条件の整った継業案件です。