
石川県小松市の八日市商店街に店を構える「ハートアート工房神田」。明治から100年以上続いた株式会社神田呉服店の建物を、2019年にペットと飼い主のための交流拠点としてリニューアルしました。
今回の募集では、オーナーの神田香苗さんが店舗の一部区画を活用してくれる方を探しています。神田さんとしてはドッグカフェなど、ペットに関連した事業を特に歓迎していますが、この場所の可能性を広げてくれる方であれば、様々な形態からの応募を広く受け付けます。
老舗呉服店から、ペットと人の笑顔が集まる拠点へ
神田さんは京都出身で、美術高校を卒業後、西陣で帯の染織に携わった後、京友禅作家の下で手描き友禅を学びました。当時、取引先だった小松の老舗「神田呉服店」の4代目だった旦那さんと出会い、結婚を機に20代で小松に移り住みました。それから約30年、このまちで暮らしています。
神田呉服店は明治時代に創業し、神田さんの旦那さんの代まで4代にわたって営んできました。時代の流れの中で呉服業は厳しい状況にありましたが、旦那さんの病気が重なったこともあり、ご家族で相談をして2019年に店舗をリニューアルする決断をしました。
その後、呉服店については2025年に廃業をしており、神田さんの個人事業として「ハートアート工房神田」を運営しています。
「犬を飼い始めたことをきっかけに、ペットの似顔絵を描く仕事を個人で始めていたので、店舗を活用してアトリエ兼店舗にすることにしました」

神田さんが描くペットの似顔絵は、バッグやスツールなどの雑貨としても販売しており、その種類は豊富で、小松市のふるさと納税の返礼品に登録されている商品もあります。
また、神田さんはペットロス・ハートケアカウンセラーとアニマル・ペットロス療法士の資格も保有しており、ペットを失った飼い主の心に寄り添う活動も行ってきました。
様々なチャレンジを行ってきた神田さんですが、現在はネットショップを主軸としているため、実店舗の売上自体は微かです。
これまでの呉服屋時代からの歴史や、駅から徒歩5分の趣ある商店街という立地を活かしながら、よりこの場所を上手に活用してくれる方を募ることにしました。
アーケード商店街で事業者同士のコラボレーション
小松市の八日市商店街は、小松駅からほど近く、アーケードがあるため天気を気にせずに訪れることができます。
また、小松市の中心市街地では、毎年5月には「お旅まつり」で子供歌舞伎が披露されたり、10月には「どんどん祭り」が開催されたり、多くの人で賑わいます。
「イベント時には人がわーっと集まります。駅近くの商店街にこんなお店があるんだと知ってもらえる機会になっています」
こうした地域の伝統行事に関わる機会もあり、商店街ならではの魅力を感じられます。

また、神田さん自身、商店街の事業者さんたちとも連携し、様々なコラボ商品を生み出してきました。
近所の洋服屋さんとは、神田さんのペットの絵を用いたオリジナルバッグを制作。和菓子屋さんとは、「ワンどら」というどら焼きを共同開発・パッケージデザインを手がけ、発売時には5,000個を売り上げる人気商品となりました。
その他、商店街の家具店さんとも連携するなどして、ペットグッズの品揃えを充実させてきました。
「商店街の皆さん、すごく仲がいいんです。お互いに紹介し合って、コラボレーションが生まれています」

最近では、新しくコーヒーショップを開く若い事業者も現れるなど、商店街に少しずつ新しい風も吹き始めています。
新しく店舗を活用してくれる方には、そんな商店街の魅力とかけ算できるような事業に取り組んでくれることを期待しています。
店舗区画の詳細と可能性
今回募集する区画は、店舗の手前部分、現在展示・販売スペースとして使用している区画です。神田さんのアトリエも使われていますが、商品と合わせて奥の区画に移るため、道路に面した手前の空間を貸し出します。

家賃は月額10万円で、改装等は自由に行えます。既存設備として、テーブルやソファ、棚などが設置されています。そのまま使いたい場合は利用可能で、不要な場合の撤去については相談に応じてもらえます。
現在、1階の店舗の奥区画は呉服の在庫スペース、扉を隔ててさらに奥の区画と2階は神田さんの義理のお母様が住居にしていますが、貸出予定の店舗手前の区画は過去にドッグカフェ仕様にすることを検討していたため、水回りについては独立した手洗い場や給排水設備が設置されています。

今後、神田さんは呉服の在庫がある店舗奥の区画に自身の商品とアトリエを移す予定です。Wi-Fiも利用可能。光熱費や通信費等の負担については、神田さんとの相談になります。
駐車場は店舗前に一時的な駐車は可能ですが、滞在時間が長くなる業態の場合は、近隣で別途手配する必要があります。
駅近の商店街で新しいチャレンジを
神田さんも引き続き事業を行う中で、ぜひ新しいテナントともコラボレーションしたいと思っています。
「小松市内にはカフェはあっても、ワンちゃんと一緒に入れるお店がほとんどないんです。ペットに関連したお店であれば、嬉しいです」
一方でまずは、この場所を活用してくださる方の応募は広く歓迎したいと話しています。
「人手が足りない時にはお手伝いもできます。アルバイトとして雇っていただいても構いません」
神田さんの事業とは完全に分けることを前提としていますが、同じ建物で事業を営むオーナーとして、良好な関係を築きながら共に成長していきたいと考えています。
小松の歴史ある商店街で、地域の人たちとも連携しながら、新たな事業にチャレンジしてみたいアイデアのある方からの応募をお待ちしています。
