
石川県小松市の中心部で、日々の食事や地域イベントへの仕出しなどを通して、これまでに多くの人たちのお腹を満たしてきたお弁当屋さんが後継者を探しています。
有限会社ムラタフーズの代表で、現在70歳になる村田さんは大手弁当チェーンのフランチャイズオーナーとして約15年間にわたってこのお店を経営してきましたが、健康面や年齢を考慮し、新たなオーナーへの引き継ぎを決断しました。
真摯に向き合ってきたお店づくりへの想いを引き継ぎ、地域の住民、企業、スポーツ団体など、小松市内で暮らし・活動する幅広い客層の”日々の食”を支えてくれる熱意ある方からの応募をお待ちしています。
月商80万円から400万円へ。大口注文にも対応
村田さんは30年前から石川県内各地で「本家かまどや」のフランチャイズ事業を自身がオーナーとなって展開し、金沢市や白山市などで複数店舗を経営してきました。15年前からは地元の小松市で現在の園町店を開店し、今日まで地域に根ざした営業を続けています。
園町店の最大の特徴は、県内の他エリアと比べても際立つ注文の多さです。小松市の中心部という立地もあり、個人のお客様はもちろん、市内企業からの注文、そして特にスポーツ団体からの大口注文も多く、幅広い顧客層に支えられています。

「地域で活動する各種競技団体やイベント運営者から毎週のように注文をいただいています」と村田さん。年間を通じて市内では様々なイベントがあるため、週末には50個、100個、200個といった大口注文が絶えません。毎年10月に行われる航空祭などのイベント時期には、一日で300個近い注文が入ることもあり、「今までやってきたどの店の中でも圧倒的に注文が多い」と村田さんは語ります。
現在、園町店の月商は400万円以上を維持しており、北陸地方のフランチャイズ店約40店舗の中でも常に上位6位以内に入るほどの売上を誇っています。前のオーナーから園町店を引き継いだ当初は月80万円ほどの売上でしたが、地道な努力と地域からの信頼を積み重ね、15年かけて現在の規模まで成長させてきました。
周りの廃業とともに与えられた地域での役割
昨今、市内では弁当店が閉店しその数が減ってきている中で、仕出しや配達を行う村田さんのお店は、地域にとってなくてはならない存在となっています。
「仕出し・配達まで行える弁当屋は本当に少なくなってきました」と村田さん。同業がいなくなっていく中で、地域のスポーツ活動や企業活動、そして住民の皆さんの食生活を支えるために、これまで休みなく働いてきました。
また、村田さんは配達だけでなく、容器の回収まで行っています。これは近隣の弁当店ではほとんど行われていないサービスで、お客さんのことを第一に考える姿勢がこれまでの信頼につながってきました。

現在はパート・アルバイトを含め10名程度のスタッフが働いており、大口の注文にも対応してきましたが、需要が増える一方で、人手確保や体力面の懸念もあり、今後は多くの注文をお断りせざるを得ない状況です。
全国チェーンのフランチャイズ店ではありますが「小松市にとって絶対的に必要な店だと思っています」と村田さん。地域の活動を支えてきたこのお弁当屋を、これからも小松市に残したいという強い想いを抱いています。
厨房には設備投資を惜しまず、徹底的な清掃を心掛け
園町店の大きな強みの一つが、充実した厨房設備です。村田さんはこれまで長年に渡る経営の中で、設備投資を惜しまず、日々の清掃に心を込めることで常に最良の状態を保ってきました。
「15年前にこの店を引き継いだ時、半年間閉店していた店内は油の塊で覆われており、やめようかと思うほどの状態でした。しかし、朝から晩まで2ヶ月間かけて1人で徹底的に清掃し、使える状態にまで復活させました。」
その後も「オープンしたての状態を保つ」という信念のもと、厨房の清潔さを維持し続けており、本部からも「北陸で一番綺麗な厨房」と評価されています。こうした細部にまで行き届いたサービスと店づくりへのこだわりが、地域からの厚い信頼と圧倒的な売上に結びついています。

また、特に目を引くのが、他の店舗と比べて圧倒的に多い冷凍・冷蔵設備。十分なストックスペースで約半月分の食材をまとめて仕入れることが可能なため、大量注文に対応することができます。

「この設備の中で、少なくとも5年から10年は故障するようなものはありません」と村田さん。豊富な設備が新しく、清潔に保たれているため、新しいオーナーが来てもすぐに追加の設備投資を行う必要はありません。中には20年から30年近く使っているものもありますが、丁寧なメンテナンスにより、見た目も機能も問題ない状態を維持しています。
フランチャイズのノウハウとオーナーによる技術指導も
「若くてバイタリティーのある人なら、この需要をもっと活かして、地域により良いサービスを提供できるはず」
村田さんは、配達システムの充実や注文システムの効率化など、現代的な手法を取り入れることで、さらに地域に貢献できる可能性を感じています。
現在、村田さんは自身の所有する有限会社で店舗を経営していますが、継ぎ手の方は、個人事業主または自らの法人でフランチャイズオーナー権を引き継ぐ形になります。物件について、現店舗は小松市内の不動産屋さんが土地・建物を所有しており、本家かまどやからの転貸でお店を借りるという流れを想定しています。
また、「本家かまどや」は全国チェーンのお弁当店として、本部からの研修やサポート体制も充実しており、未経験からでもお弁当事業を始めることができます。経験にもよりますが、およそ2〜3ヶ月ほどでノウハウを身につけることができ、引き継ぎ期間には村田さんからの指導を受けることも可能です。
現在働いている10名のスタッフの皆さんについては「続けたい」という意思を示しており、村田さんの元で培われてきた大きな戦力も引き継ぐことができます。
一方で、村田さんは正直に語ります。「この仕事は本当に大変です。体力が第一、第二も体力。」独立したい、経営者になりたいという気持ちだけでなく、この規模の注文に対応し続ける根気と努力が重要です。
小松市の弁当需要を支える地域に欠かせない事業者として、その可能性を広げていくことができる新たなオーナーを求めています。