釣りの名人が営むお店
郡上市から高山市に通じる「せせらぎ街道」の出発点にある、郡上市八幡町の中心部に位置する「芳花園」。オーナーの恩田忠弘さんは、釣り専門雑誌「つり人」に度々掲載される有名な釣り人です。魚を知り尽くした名人が経営するお店ともあって、根強いファンはもちろん、土日は全国からのお客様も訪れるといいます。
釣り人かつ料理人として鍛えてきた目利き力で買い付けて調理する天然鮎料理がお店の看板メニュー。郡上市を流れる清流で育った鮎を使った料理は、郡上市の夏の風物詩としても有名です。
「吉田川は流れが速く、深いので、鮎の身が締まっているんです。東京で食べたら、一匹5,000円前後の値段になるでしょう」と恩田さんは話します。
お店のこだわり
1952年に恩田さんのお父さんが創業した芳花園を引き継いだのは、24歳の頃でした。父であり初代オーナーの恩田俊雄さんは、渓流釣りの第一人者として多くの釣り人に知られる存在でした。
創業時からのコンセプトは、鮮度が良い郷土の食材を使い、お手頃な価格で提供すること。お店で提供する鮎やあまごは、恩田さんが直接釣り人から仕入れるため、鮮度には自信があるといいます。
また、芳花園は郡上で奥美濃古地鶏発祥の料理店でもあります。鮎料理以外でも郡上産天然しし肉・鹿肉を使った「ジビエ料理」も味わうことができます。
店舗は築35年ですが、無垢材や漆喰壁を使用している趣ある店内は、経年による劣化を感じさせません。毎年2,000万円程度の売上を上げていましたが、近年は新型コロナウイルスの影響を受け、売上は低迷中だといいます。
恩田さんは年齢を重ね体力的に店を続けることが難しくなりはじめており、後継者がいないことから、今まで習得した郷土料理の味と調理技術を受け継いでほしいと考えるようになりました。
長年鍛えてきた目利きの技術と、調理技術をしっかり教えたいと意欲的です。
「鮎の味は、天然と養殖では全く異なります。あまり天然の鮎を食べる機会は少ないかもしれませんが、これからもお客様に食べていただきたいです」
釣りの現場を知り、魚への思い入れが料理にもあらわれている芳花園の料理。釣りの名人親子で営まれてきた郡上市の名物を提供する食事処を引き継いでみませんか?