雪国ではぐくみ続けた黒墨(クロボク)の土と自根栽培の技術を受け継ぎハウスを活用してくれる方を募集 | ニホン継業バンク
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2025.12.18

雪国ではぐくみ続けた黒墨(クロボク)の土と自根栽培の技術を受け継ぎハウスを活用してくれる方を募集

後継ぎ募集

森吉の地に根を下ろして。四季を巡る農園の一年

雪深い秋田県北秋田市米内沢で、根田園芸の根田輝男さんと妻の洋子さんは、何十年もの間、土と向き合い続けてきました。

根田さんご夫婦

お二人がこの土地に根を下ろしたのは、森吉ダムの建設がきっかけでした。

ダム建設に伴い、それまで暮らしていた土地からの移転を余儀なくされた輝男さんと洋子さんは、この大きな転機を新しい挑戦の機会に変えて、米内沢で一から農園を築き上げ、長年かけて花々や野菜を育て、地域に愛される農園へと成長させてきたのです。

根田園芸が育てきたのは、冬場のほうれん草や小松菜、夏場のトマト、そして美しい菊やデルフィニュウムなどの切り花。コロナ期から花を育てるのはやめてしまいましたが、長年にわたり、ハウスの中で季節ごとに異なる作物を育てながら、輝男さんと洋子さんは一年を通じて栽培と出荷を続けてきました。

お盆時期の菊の出荷に合わせて、ハウス内を暗くし日の長さを調整(遮光栽培)

10月に種を蒔けば、正月頃には収穫できるほうれん草は、雪国の冬でも少ないエネルギーで育ち、暖房を使わずとも元気に育ちます。そのため冬場でもほうれん草の収穫と出荷に追われます。

青々としたほうれん草

そして、花を栽培していた頃は、冬野菜の出荷が終わる4月初旬頃から花の栽培が始まり、5月の連休過ぎにはトマトの定植。7月から10月中旬頃まで続くトマトの収穫。夏は花とトマトの両方を手がける。

夜遅くまで作業をし、朝早くから出荷の準備をする。

「あの頃はよく動いたなあ」と振り返る洋子さんは懐かしそうに話します。途切れることなく何かを育て、何かを出荷する。そんな365日でした。

現在は年齢のこともあり、栽培の規模を縮小しましたが、今でも年間を通じて安定した生産を続けています。

黒墨(クロボク)の土が育む、本物の味わい

「お客さんにおいしくて、長く楽しめるものを届けたい」それが根田さんの変わらぬ信念です。

市場に出荷した花が高く評価される喜び、地元の直売所で「あなたのところの花が一番長持ちする」「あなたのトマトだけ買いに来た」と声をかけてもらえる瞬間。そんな言葉の一つひとつが、365日休むことなく働き続ける原動力となってきました。お客様から直接届く声は、何よりの励みです。

では、なぜ根田園芸の花は長持ちし、野菜はおいしいのか。その秘密は、長年培ってきた栽培技術と豊かな土づくりにあります。

根田園芸のハウスの真っ黒な土は「黒ボクの土」と呼ばれ、有機物を豊富に含んだ肥沃な土壌です。これは、長年、丁寧に土づくりを続けてきた証です。この黒々とした土が、作物に豊かな栄養を与え、おいしい野菜と長持ちする花を育てる土台となっているのです。

黒々とした土。この土からおいしい野菜と長持ちする花が育てられる

そして、トマト栽培での最大のこだわりは、接ぎ木をせず、作物本来の根で育てる自根栽培です。

多くの生産者が接ぎ木栽培を選ぶ中、あえて、病気などのリスクのある自根栽培にこだわるのは、作物本来の味わいが引き出されるからだといいます。

自根栽培を実現するには、苗づくりから細心の注意が必要です。

健康な苗を育て、それぞれのハウスで適切な時期に定植する。一見シンプルに見えるこの作業の中に、長年の経験と知識が凝縮されています。

「わかる人にはわかる」技術だと、輝男さんはいいます。

さらに、病気や連作障害を避けるため、複数のハウスを綿密な栽培計画で巧みに使い分けることで、これらのリスクを避けながら栽培するのです。

豊かな黒ボクの土と自根栽培の技術組み合わせが、「長持ちする花」と「おいしい野菜」という評価につながっています。

「立派なものというよりも、長持ちするものになってほしい」

そう語る根田さんの言葉には、生産者としての誇りと、消費者への深い思いやりが滲んでいます。

市場からの評価、直売所でのお客様の声、そうした反応一つひとつに向き合いながら、常により良いものを目指してきた日々が、今の根田園芸を作り上げました。

次の世代へ、この技術と想いを繋ぎたい

根田園芸には、鉄骨製で水道も整備された17棟のハウスがあり、自根栽培に必要な連作障害対策を実現できる環境が整っています。

現在もその半分ほどを根田さんご夫婦が使用していますが、残り10棟のハウスは現在は使用していないため、そこを活用してほしいと考えています。ハウスはシートを新しく掛け直すなど修繕の必要はありますが、鉄骨自体はまだまだ使用可能です。

大きなハウスがずらりと並ぶ

継いでもらいたいのは、この根田園芸が培ってきた技術を学び受け継ぎ、ハウスを活用してくれる人。

365日の地道な作業を嫌がらず、お客様の喜ぶ顔を想像しながら、丁寧に作物を育てられる人。市場の評価やお客様の声に耳を傾け、常により良いものを目指せる人です。

自根栽培という栽培方法を理解し、複数のハウスを使った計画的な栽培に取り組める人。そして、「長持ちする花とおいしい野菜」というこだわりを、共に大切にしてくれる人を求めています。

現在農家をしている方も、農業未経験の方でも、根田さんご夫婦がアドバイスや指導をすることが可能です。

農業は決して楽な仕事ではありません。でも、自分が育てた作物を喜んでもらえる喜び、季節とともに巡る農作業のリズム、そして何より、この北秋田の豊かな自然の中で暮らす充実感。それらすべてが、農業の魅力です。

冬は雪に閉ざされる厳しい土地ですが、春の芽吹き、夏の収穫、秋の実り、冬の静けさ。四季それぞれに、農業ならではの喜びがあります。

輝男さんと洋子さんご夫婦は、新しい仲間との出会いを心待ちにしています。あなたの手で、雪国の小さな農園が紡いできた物語の新しい章を始めてみませんか。

募集要項

事業者名

根田園芸

所在地

秋田県北秋田市米内沢中新田上段

事業内容

花・野菜の栽培、販売

継いでほしいもの

・1棟120坪のハウス1〜10棟(根田さんご夫婦が使用されていないハウス)

※1組で10棟でも、2〜3組で10棟分を利用でも活用してもらえればありがたいです。

※夏の間であれば、ハウスとハウスの間で路地栽培をおこなうことも可能です。(記事内の黒ボクの土の写真部分)

 

・譲渡ではなく賃貸を想定。

・金額:応相談

 

※賃貸とは別でハウスにビニールかけをする費用が発生します。

※農作業に必要な種苗や農機具などの購入費用は応募者の方の負担となります。

継いでほしいひと

・意欲のあるひと

・自分で作ったものが売れる喜びを感じられるひと

・一人でこの規模の作物を育てるのは大変なので、家族や複数人で農業をする予定の方

継業までの流れ

①継業バンクより応募・お問い合わせ

②エントリーシートの提出

③書類選考

④オンライン面談

⑤現地視察、事業主と面接

⑥交渉・契約

⑦継業

 

※継業後、根田さんご夫婦が農作物栽培指導することが可能です。

   「元気なうちにノウハウを伝えたい」と言っていただいています。

資金調達について

継業成立後、希望者にはクラウドファンディングによる資金調達の支援が可能です。

▼詳しくはこちら

https://keigyo.jp/crowdfunding/

注意事項

・事業者様への直接のご連絡、ご訪問は、ご迷惑となりますのでご遠慮ください。

・ご応募、お問い合わせは、記事下の「お問い合わせはコチラ」からご連絡ください。

・継業バンクの利用料は無料です。成約報酬等も必要ありません。

・契約に関わる費用や許認可の申請に必要な経費はご負担ください。

その他の継業情報