
500坪の敷地で営んできた酪農と稲作
秋田県仙北郡美郷町の浪花地区。奥羽山脈を背景に広がる自然豊かな平野に、高橋幸夫さんが60年以上営んできた酪農の拠点があります。
約500坪の敷地には、居宅、牛舎、作業小屋が並び、長年にわたり農業と酪農を行ってきた環境が整っています。
「酪農を始めたのは昭和49年からです。元々稲作を中心に考えていましたが、水田の面積が少なかったため、乳用牛を飼って稲作と酪農で生活しようと決意しました」

以来、高橋さんご夫妻は毎日365日、朝夕2回の搾乳と飼育管理を続けてきました。稲作はおよそ5年前から休止していますが、牛舎では現在も約10頭の乳用牛を飼育しています。
そんな高橋さんですが、ご自身の年齢や体力面での限界を感じ、今後の事業継続を断念。ご家族とも話し合って、土地建物や設備一式の譲り先を探すことにしました。
365日欠かさず続ける日々の仕事
高橋さんの1日は、朝7時から始まります。
朝7時から9時、そして夕方17時から19時の1日2回、乳用牛への餌やり、搾乳、糞尿の処理、米ぬか敷き(牛にとってのベッドのようなもの)、牛舎内の清掃などを行います。これを毎日、365日欠かさず続けてきました。

春から夏にかけては餌用の乾燥草の育成・収穫作業があります。肥料散布を2回、刈取収穫は6月と9月に実施。冬期間は、降雪状況により牛舎周辺の除雪作業も必要になります。
「夏の猛暑の中での牛舎内での作業や、餌用乾燥草の管理・収穫作業はすごく大変でした」
また、搾乳作業はバケットで行っており、これも非常に時間がかかるといいます。

稲作は天候との勝負。収穫時期が台風や雨天と重なると、早朝から夜遅くまでかかることもありました。
休むことのできない酪農と、季節に応じた農作業。仕事と暮らしの区切りがない生活の中で、常に自然の法則と向き合いながら試行錯誤してきた高橋さん。
こうした地道な日々の作業の積み重ねが、60年以上の事業継続に結びついてきました。
酪農人生の誇りとこだわり
高橋さんが何より大切にしてきたのは、乳品質の成分管理です。
「食料品であるため、乳品質の成分管理や向上には徹底的にこだわってきました。月2回の厳しい検査をクリアできるよう、常に気を配っています」

また、近年の気温上昇に対しても、乳用牛の夏バテや衰弱に配慮し、餌の配合飼料を少なめにしたり2番草を使ったりと、牛の健康管理を心がけてきました。
体力も根気も繊細さも必要な仕事ですが、高橋さんの心には、60年以上の酪農人生への誇りと感謝の気持ちが溢れています。
「私は酪農を通じてかけがえのない人達と出会い、交流ができました。仲間や同業者と励まし合い、時にはライバルとして競い合ってきました。いま振り返っても本当に充実した人生だったと思っています」
酪農以外への転用も可能。豊かな環境を活用して
譲渡される土地は、台風被害がこれまで一度もなく、高地であるため洪水の心配もありません。安心して生活・仕事を行うことができる環境です。
牛舎は約20頭飼育できる設備が整っており、作業小屋には農業機材を収納できます。面積が広い平坦な土地のため、酪農だけでなく、果樹栽培、ハウス栽培など、様々な事業展開が可能です。

酪農を継続したい方はもちろん、この豊かな自然環境と広い土地を活かして、新たな農業や事業に挑戦したいという方からのお問い合わせをお待ちしています。