太古の昔から存在する鍾乳洞
踊りと水のまち・岐阜県郡上八幡で、最も標高が高い場所に位置する「美山(みやま)鍾乳洞」。
昭和40年頃から岐阜大学地学科によって調査が始まり、昭和43年に発掘。昭和44年6月に郡上市天然記念物に指定されました。開発段階からいっさい手を加えておらず、地球の歴史を感じることができます。
付近一体は美山鍾乳洞穴群と呼ばれ、2億5千万年前のペルム紀の海底でできた石灰岩が多いそう。美山鍾乳洞のようにアリの巣状に広がっている「立体的迷路型」は世界的に見ても珍しいのだとか。
深さ80メートル、東西160メートル、南北130メートルの上下6段にわたってホールやトンネルができています。全長は1Km以上のうち観光洞は約800メートルで、見学時間は約30分です。
この付近にはほかにも3つの鍾乳洞があり、美山鍾乳洞はそのうちのひとつ。
城下町である郡上八幡から車を20分ほど走らせた場所にあり、日本三名泉のひとつに数えられる下呂温泉までは車で約40分。そのため、下呂を訪れる観光客も多く訪れるのだそう。
かつて山田さんは別の仕事をしていましたが、事業撤退に伴い売り先を探していることを知り「この素晴らしい鍾乳洞は、後世に残すべきだ」と思い、引き継ぐことを決めたそうです。
管理する人の存在は不可欠
自然の力で生み出され、人々に感動を与える鍾乳洞。人工的に作れるものではないからこそ、山田さんのように毎日管理をして、状態を維持する人の存在が必要です。
「郡上八幡で育ったので、小さい頃に訪れたことはありましたが、まさか経営者になるとは思ってもいませんでした」と話す山田さん。
美山鍾乳洞は、修学旅行や野外学習など、小学生から高校生まで学校関係者も多く利用するといいます。地域全体を見ても、魚釣りやマウンテンバイクなどのアウトドア体験に、たくさんの学校が訪れているそうです。
「周辺の豊かな自然環境を活かして、まだまだ可能性を秘めたこの地域で鍾乳洞を経営する仕事は、とても魅力的だと思います。ですが、いずれ歳を重ねるため、どこかのタイミングで誰かと交代しなければいけない時がくると考えるようになりました」
そこで、自分が少しでも若く身体が動かすことができるうちに、この自然と鍾乳洞を守ってくれる人を見つけたい。そんな想いから、後継者を募集することを決めたそうです。
鍾乳洞は可能性を秘めている
経営者としての日々を振り返ると、「良い時も悪い時もあったけど、楽しかったですね」と、目を輝かせて話してくれました。
「幸い、私が経営者になってから業績はずっと伸び続けてきているんです。若いカップルや女性グループの観光客も増えていますよ」と山田さん。
鍾乳洞は年間を通じて15度前後の気温で、夏は涼しく冬は暖かいのが特徴で、年間3万人前後が訪れるといいます。最近では、ヘルメットやライトを装着して洞窟を探検するケイビングも人気なのだそう。
「あと20歳くらい若ければ、まだまだここでやりたいことや、やれることはたくさんあります」
地球の神秘を感じさせる世界的にも貴重な美山鍾乳洞は、環境意識の高まりやアウトドアブームなどが高まる中、アイデア次第で新たなビジネスチャンスを生むかもしれません。
山田さんの想いを引き継いで、美山鍾乳洞の魅力を最大限に伝えながら、新しいことにもチャレンジしてみませんか?