25年前に郡上に戻り、自分のお店を開く
名古屋から高速に乗って1時間ほど北上すると、岐阜県郡上市に到着します。
7月から9月にかけて30夜以上にわたって開催される伝統的な盆踊り「郡上おどり」には、全国から約30万人が訪れます。また、日本最古の木造再建城の「郡上八幡城」があり、城下町には古い街並みが広がり、街歩きを楽しむことができます。
そんな郡上八幡の市街地から車で10分の場所にある「北海寿司」。25年にわたりご夫婦でお店を切り盛りしてきましたが、ご主人が他界されたため、2021年の1月に閉店しました。
もともと岐阜市内のお寿司屋さんに勤めていたというご主人。出身である郡上市に戻り、独立のためお店を構えることになったといいます。
「私はもともとは主婦だったのですが、仕方なく一緒にやることになったんです」
そう笑って話す奥さまですが、お店を構えて以来、地域のひとたちを中心に賑わっていました。「北海寿司」という名前は、ご主人が働いていた本店の名前で、独立の際に名前を使ってもいいと言ってもらい、暖簾分けという形で名付けたそうです。
地域のひとの憩いの場所だった北海寿司
郡上八幡の市街地から歩いてアクセスはできるものの、通りから少し入ったところにある立地で、近場にはお店が少ないといいます。
「特に宣伝などはしませんでしたが、口コミでみなさんが来てくれていましたね。このあたりにはお店がないので、行事などでご飯を食べに行くときには集まってくれました」
店内には6人掛けのカウンター席、小上がりの座敷席には3つ机を並べることができます。また、奥には6畳2間の空間が広がります。
営業時間は11時から13時過ぎまでランチ、一度休憩してから17時から21時頃まで夜の営業をしていました。
ご主人は魚を仕入れるために、1日おきに朝3時過ぎに出発して岐阜市内まで買い付けに行っていたそうです。配達してもらうこともできましたが、「自分の見ていいものを買いたい」と、仕入れに行くことにこだわっていたそうです。
「自分のお店を持って嬉しかったんでしょうね」と笑顔で振り返る奥さま。
こだわりが散りばめられた内装
今回お店を譲ろうと思ったきっかけは、「せっかくなので誰かにお店を使ってもらえたら」という思いがあるといいます。
開店から25年が経ちますが、定期的にメンテナンスや改装しているので、状態はとても綺麗です。もともとはお寿司屋さんですが、料亭としても活用ができそうです。
「お店を使ってもらえば、お寿司屋ではなくてもいいんですよ」
そう話す奥さまですが、店内には郡上や魚にまつわる装飾がたくさん。郡上を愛し、魚が好きだったご主人の想いが散りばめられています。
郡上らしさを感じられる店内を最大限活かして、歴史と自然を堪能できる郡上八幡でお寿司屋さんや料理屋さんなどを始めてみてはいかがでしょうか。