
郡上市白鳥町は、郡上市の北部に位置しています。この地域は白山文化の里や白鳥おどりなど観光地として有名で、年間100万人を超える観光客が訪れています。夏は世界遺産である清流・長良川の鮎、そして、年間3万人が訪れる「白鳥おどり」、冬はスキー場が観光の中心となり、四季を通じて賑わいを見せます。
そんな白山文化の里として知られるこの地に、昭和の時代から地域の人々の足元を支え続けてきた老舗があります。長良川鉄道白鳥駅から徒歩わずか3分、中心商店街に店を構える「有限会社ニスケ」です。
白鳥おどりの聖地で受け継がれる伝統の技
有限会社ニスケの2代目店主である瀬上博通さんは今年80歳を迎えました。店の前では毎年夏になると、郡上おどりと並んで愛され続ける「白鳥おどり」の輪が広がります。瀬上さんは長年にわたり、この踊りに欠かせない下駄を手がけ、地域の文化を足元から支えてきました。
「最近の若い人のニーズも変わってきたし、お得意様も高齢になられた。これからは新しい感覚で経営していかないと」と瀬上さん。「白鳥町を心から愛し、この地を盛り上げてくれる人に店を託したい」という想いを込めて、今回の事業承継を決意しました。

独自開発の下駄で年間300足を販売
ニスケの特徴は、なんといっても独自に開発した下駄にあります。完成品の販売はもちろん、鼻緒の付け替えやサイズ調整まで一人ひとりの足に合わせたオーダーメイドにも対応し、細やかな要望にも応えてきました。最近では積極的な販売はしていないものの、観光客や地元のお客様に単価3,000円から4,000円で年間300足以上を販売。その技術とデザインのノウハウを、次の世代に承継したいと考えています。
特に「白鳥おどり」の期間中は、本格的な踊り下駄を求める人々で賑わいます。年間3万人が訪れるこの祭りは、郡上おどりと並んで岐阜県を代表する民俗芸能。その伝統を足元から支えるニスケの下駄は、踊り手にとって欠かせない相棒なのです。



雪国の暮らしを支える、唯一無二の存在価値
冬の白鳥町は雪深い山間の町へと変貌します。この季節の主力商品となるのが、ゴム長靴をはじめとする冬用の履物です。ニスケは白鳥町で唯一の靴屋として、地域住民の冬の暮らしを足元から支える重要な役割を担っています。
「冬物の仕入れは毎年3月が勝負。追加発注は一切できないから、過去のデータと気候予測、そして長年の勘を総動員して発注量を決めるんです」と瀬上さん。この仕入れの極意こそが、雪国での商売を成功させる鍵となります。長年培った仕入れ先メーカーとの信頼関係、地域の気候パターンを読む技術、そして在庫管理のノウハウ―これらすべてが新しい後継者に引き継がれます。

地域密着で築いた安定基盤、確かな収益性を誇る老舗の承継
現在の年間売上高は約700万円で、粗利益は50%以上。商品在庫は約100万円程度となっています。かつては年間6,000万円の売上を誇った時代もありましたが、時代の変化とともに規模は縮小したものの、白鳥中学校の指定用品の販売も手がけるなど、地域に根ざした堅実な経営を続けています。
今回の事業承継では、希望譲渡価格100万円で営業権と商品在庫を譲渡し、店舗は月額10万円(税抜き)での賃貸契約となります。瀬上さんは「事業の引き継ぎ支援もしっかりとさせていただきます」と話し、新しい経営者が安心してスタートできる環境を整えています。

白鳥町を盛り上げる新しい担い手を募集
白山の麓で脈々と受け継がれてきた職人の技と地域への愛情。下駄の音が響く夏の夜、雪道を歩く冬の日常、そのすべてに寄り添ってきた老舗の想いを受け継ぎ、白鳥町の新しい未来を一緒に歩んでくれる人を、瀬上さんは心待ちにしています。
歴史ある地域で、伝統と革新を融合させた新しい事業を始めませんか。あなたからのご連絡をお待ちしています。