漁港とともに歩んだ歴史
青森県西海岸に位置する鰺ヶ沢町で、海と共に歴史を歩んできた「滝和商店」では、新たな担い手を募集しています。
昭和初期から続く滝和商店は、漁業から出荷問屋、そして飲食店へと時代の波に合わせて事業を展開してきました。現在はオーナーの滝渕夫婦が2人で切り盛りし、旬の新鮮な魚介類が食べられる名物店として地域内外から多くのお客さまが訪れます。
滝和商店の歴史は、鰺ヶ沢の漁港が整備される以前にまで遡ります。創業当初は漁師として船を持ち、トロール漁を営んでいました。その後、地元の海産物を出荷する問屋も創業し、鰺ヶ沢の海と共に事業を発展させてきました。
出荷問屋としての最盛期は、大型トラックを複数所有し、魚市場での仕入れから出荷まで、大規模に事業を展開。年間売上は6億円を超えていました。しかし、2011年の東日本大震災以降、漁獲量の激減と魚価の高騰により出荷量の維持が難しくなったことから、食堂の事業に注力。鰺ヶ沢町役場が、地域の名物にと考案した「ヒラメの漬け丼」のヒットもあり、鰺ヶ沢町の新鮮な魚介類を楽しめる店として、土日を中心に多くの観光客や地元客で賑わう人気店となりました。
魚のプロとしての経験と目利き
滝和商店の人気を支えるのは、長年、鰺ヶ沢の海で仕事をしてきた滝渕夫妻の確かな目利きと熟練した技術にあります。特に魚市場での仕入れは、単なる価格競争ではなく、その日の魚の質、漁獲量、競合店の状況など、様々な要素を見極め、適切な入札額を判断する経験と勘が必要な仕事です。また、魚のさばき方や料理の技術も、一朝一夕には身につかない専門性の高いものです。
今回の承継では、この無形の資産を引き継ぐため、現オーナー夫妻には、再雇用という形で一定期間、滝和商店の営業に携わっていただくことも可能です。
鰺ヶ沢町のランドマークの担い手を求めて
滝和商店の店舗は、昭和33年に建てられた漁具倉庫です。週末になれば行列ができる海沿いに建つ木造倉庫は、漁師町のランドマークにもなっています。
現在の年間売上は、約2,000万円。人気店ではあるものの、集客が週末に集中していること、また、人手不足のため客数を制限せざるを得ないことが課題です。
「この場所でお店を続けてほしい」という地域の声に応えるため、広く後継者を募集することを決意した滝和商店。漁師町の歴史と共に、長年培ってきた技術と信頼を承継する新しい担い手を求めています。