郡上の清流を望むロケーション
郡上八幡の中心地から車で20分ほど。明宝地区を通る国道472号線は、郡上の中心地から高山までをつなぎ、紅葉やスキーシーズンには、多くの観光客が往来します。その国道を少し入った清流の脇にあまごやイワナなどの川魚を中心とした郡上の郷土料理を提供する「するすみ」はあります。
道路からはお店が見えづらいので、サインなどの工夫は必要ですが、周囲に飲食店が少ないため、観光客をうまくつかまえることができれば、集客は見込めそうな立地ではあります。何より郡上の清流が眼下に流れる景観は、「清流の国・岐阜」でお店を持つなら最適なロケーションに思えます。
明宝で飲食店を続けてほしい
するすみは、オーナーの鈴木近夫さんが川魚の養殖業の傍ら「養殖している魚を食べたい」という声に応えて、1988年に開業しました。自慢の料理はあまごの甘露煮。料理に使うあまごは、ひと足先に継業した「かのみずあまご園」のヒレピンあまごです。鈴木さんが独学で学んだという甘露煮は、地元の企業が贈答品としても利用する人気商品。するすみの事業を継いでくれるひとには、希望すれば、この甘露煮のつくり方も教えてくれるそうです。
鈴木さんが継業を考えたのもやはり年齢から。若い頃は、夜の宴会やお客さんの送迎なども行っていましたが、今はお昼のみの営業。歳をとり商売を続けるには体力的に厳しくなってきました。「これという注文をつけるつもりはないけれど、いまの業態(飲食店)を続けてほしい」。事業の譲渡金などはなく、店舗や施設をいまの状態で賃貸しての継業が希望です。
かつてはキャンプ場も経営。民宿用の建物もあり
現在は、飲食店のみの経営ですが、かつては建物裏の山林でキャンプ場を運営していたとか。たしかに裏手をみるとこじんまりとしているけれど、下草を刈ればキャンプができそうな林があります。
さらに、店舗を少し登ったところには「民宿をやろうと思って建てた」という建物が。内装は未着手ですが、躯体と外観は工事済み。現在は倉庫として使用されていますが、内装工事をすれば宿泊施設としての利用も可能(宿泊業の申請が必要)というスケルトン物件です。DIY好きならずとも夢が広がってしまいます。
郡上の山の中で飲食店経営をしてもよし。ベンチャー型承継をして、郡上の新しい観光スポットをつくってもよし。この清流沿いの食事処のポテンシャルは高そうです。